心理学

心理学はどのような学問か

心理学とは、簡単に言うとヒトのこころの働きを科学的な視点から解き明かそうとする学問です。

視覚、聴覚、触覚や記憶、思考、学習といった「認知的側面」、外向的、心配性、新しい事柄にオープン、といった「性格的側面」、喜び、怒り、恐れといった「感情的側面」、うつ病や統合失調症などの「臨床的側面」、精神的なIQや学業以外の能力である「非認知的能力」など、様々な心理的現象に着目し、研究がなされてきました。

こうしたヒトのこころに関わる現象を対象とする心理学には、認知心理学、社会心理学、教育心理学、発達心理学、パーソナリティ心理学、臨床心理学、進化心理学、犯罪心理学など、数多くの分野があります。

現代の心理学研究においては、心理的現象を科学的に解明するために、実験・調査などで数値データ（量的データ）を収集し、統計的に分析する「量的研究」が数多くなされています。客観性や再現可能性といった点が重視されます。

一方で、観察やインタビューによるデータ（質的データ）をつぶさに分析する「質的研究」も行われています。

量的研究と質的研究の両輪で、人間の心と行動を理解していこうとするのが現代の心理学です。

また、脳科学、生物学、情報科学を用いてヒトの心理的現象を理解しようとする試みや、心理学の経済分野への応用（行動経済学）など、他分野との幅広い関わりも特徴的です。

ヒトの心についての関心は古くからありました。心理学はもともと哲学領域で考えられていたものです。その後、実験的な手法による研究や、ヒステリー患者の治療にあたったフロイトの精神分析などを経て、現代の心理学では科学的なアプローチが重視されるに至りました。

心理学分野で有名な人物・本

心理学分野で歴史的に有名な人物を以下に数人挙げてみます。

ヴィルヘルム・ヴント、ウィリアム・ジェームズ：心理学分野における実験的な手法の重要性を広めました。

ジークムント・フロイト：精神分析を作り上げました。有名な著書に『精神分析入門』があります。

ジョン・ワトソン：外から見ることが出来る行動を研究することでヒトの心理的現象を解明しようとする行動主義を提唱しました。有名な著書に『行動主義の心理学』があります。

カール・ロジャーズ：カウンセリングにおける来談者中心療法を始めました。有名な著書に『カウンセリングと心理療法』があります。

また、心理学の入門書としては、鹿取廣人氏らが編集を務めた『心理学　第5版』（東京大学出版会）、無藤隆氏、森敏昭氏、遠藤由美氏、玉瀬耕治氏による『心理学』（有斐閣）などが評判です。