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現象学
ヘーゲル・フッサール・サルトル・ハイデッガー・精神現象学(弁証法的現象学)・超越論的現象学・発生的現象学・解釈学的現象学などに関する本の買取を承ります。
現象学
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルに『精神現象学』という著作がありますが、哲学で「現象学」と言う場合、このヘーゲルの著作で展開された哲学のことは念頭に置かれていません。そうではなくて、エドムント・フッサールが提起した哲学のことを言います。
『算術の哲学』、『論理学研究(第1巻、第2巻)』、『純粋現象学と現象学的哲学のための諸構想(通称イデーン、生前第1巻のみ公刊)』といった諸著作を通じ、フッサールは微妙な立場の変化を示しながら、自己の立場すなわち現象学を成熟させて行きました。
彼の著作に接して気づくのは、意外なことに「没歴史性」です。ようするに哲学史をあまり重んじない議論の仕方をしているのです。
フッサールは多くの哲学用語を、その歴史的文脈から切り離し、自己の立場でゼロから定義し直しました。「知覚」、「世界」などといった用語がその一例です。彼の数学者としての出自が、恐らくそれを要求したのでしょう。しかし、たとえそのような論述方針が初学者には「優しい」と映ったとしても、哲学的研究ならびに伝統の観点からすると許されるものであるかどうか、意見が分かれところだと思います。
もっともこのような態度は20世紀初頭の哲学にはよく見られたもので、論理実証主義やウィトゲンシュタインなども、同様の哲学的方針をとっています。
もっとも、たとえそういった批判がなされようとしても、フッサールの現象学が大成功をおさめたことは、誰も否定できません。
その成功はフランスにも飛び火し、ジャン・ポール・サルトルの『存在と無』、メルロ=ポンティの『知覚の現象学』といった傑作を生み出しました。
フッサール周辺にも優れた弟子が育ちました。その最も有名なのはマルティン・ハイデガーであり、彼の書いた『存在と時間』でしょう。
フッサールが或る意味、没歴史性、哲学史無視に近い態度で現象学を構築しようとしたのに対し、ハイデガーが「ギリシア回帰」とも言える仕方で、どぎつく哲学史の根源に迫って行ったのは、現象学運動の非常に興味深い一面だと言えます。