2024/12/09
鏑木清方 木版口絵 ほか【69点 244,070円】
買取日記ジャンル
今回は木版口絵を中心にまとめて69枚の手摺木版画・浮世絵を買い取りさせていただきました。
木版口絵について
木版口絵は、明治時代から大正時代にかけて、小説や雑誌の冒頭に添えられた版画です。錦絵の技術を継承しつつ、近代文学の世界観を鮮やかに表現しました。本を開いた瞬間に目に飛び込んでくる木版口絵は、物語の第一印象になります。
木版口絵は、美術品としても高い価値を持つため、コレクターの間で人気があります。版画の希少性や作者の知名度によって、その価値は上がります。
今回の買取には様々な絵師の木版口絵が含まれていますが、特に鏑木清方と武内桂舟の絵が多く見られました。
鏑木清方について
鏑木清方(かぶらき きよかた、1878年(明治11年)8月31日 – 1972年(昭和47年)3月2日)は、明治から昭和にかけて活躍した日本の画家です。13歳の時に浮世絵師水野年方(※下段の見出し「画像の作品について」参照)の弟子となり、のちに近代日本の美人画の巨匠として知られています。
鏑木清方は、多くの雑誌や新聞に挿絵を描きました。これらの挿絵は、木版口絵として出版され、当時の読者に大きな影響を与えました。木版口絵を通して、鏑木清方の作品は広く大衆に親しまれ、近代日本の文化に深く根付いていると言えます。
武内桂舟について
武内桂舟(たけうち けいしゅう、文久元年10月11日(1861年11月13日) – 昭和17年(1942年)1月3日)は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本の挿絵画家、日本画家です。狩野派に学び、尾崎紅葉の「硯友社」(明治時代に結成された文学結社です)に参加するなど、文人画家の感化を受けながら、独自の画風を確立しました。尾崎紅葉をはじめとする文人たちと交流し、多くの小説や雑誌に挿絵を描きました。出版された木版口絵は高い評価を得ており、その繊細で美しい画風は、当時の読者に大きな影響を与えたのでしょう。
画像の作品について
なお、本ブログ冒頭の画像の各作品の作者は以下のとおりです。
武内桂舟のほか先述した鏑木清方の師、水野年方(右上)の作品もあります。
その他、多くの挿絵を手掛け当時絶大な人気を誇った尾形月耕(左下)にも注目。
見出しや本文に名前をお出しした鏑木清方の作品は選出いたしませんでしたが、当時の木版口絵には清方というビッグネーム以外の絵師による作品にも素晴らしいものがたくさんあります。
当店ではそういったややマニアックかも知れない作品たちの価値を見つけ、適正な価格で評価させていただきます。大切なお品を手放される際の選択肢として、当店も加えていただけますと幸いです。
今回の買取について
このコレクションは、55枚もの木版口絵が揃った、まさに圧巻のものです。どれも状態が良く、非常に珍しい木版口絵が多数含まれています。所有者の木版口絵に対する深い愛情が感じられ、その情熱に感動しました。長年にわたる収集の結果、このような素晴らしいコレクションが築き上げられたのでしょう。
状態の良さ、市場での評価、そして作品が持つ歴史的価値などを総合的に判断し、55枚を185,000円とさせていただきました。
下表は今回の買取額をつけさせていただいた木版画の一覧です。似たジャンルの木版画のご売却をご検討中の方はご参考まで。
絵師 | タイトル | 買取額 |
周重 | 役者絵 3枚続 | 6,750 |
国周 | 役者絵 3枚続 | 2,650 |
貞綱 | 美人画 1枚 | 3,820 |
国周 | 役者絵 3枚続 | 4,250 |
芳年 | 近世人物誌 1枚 | 14,650 |
芳幾 | 東京日々新聞 1枚 | 14,450 |
西嶋勝之 | 木曽街道 ほか 2枚 | 12,500 |
鏑木清方 他 | 木版口絵 55枚 | 185,000 |
スタッフJ