2024/11/29

科学・人工知能・IT・哲学書の買取【84冊 20,117円】

買取日記ジャンル

今回は科学や人工知能・IT関連、加えて哲学的な書籍の買取をさせていただきました。

やはりIT関連、特に人工知能(AI)については洋書でも良い買取額をお付けできることが多く、関心の高さがうかがえますね。

さて、そんなラインナップの中でまずはじめにご紹介するのはこちら。

ひと目でわかるMicrosoft 365 SharePoint運用管理編
ISBN：4296080059

2021年に日経BPより発行の本書は、Microsoft 365 SharePointを学ぶうえで特に評判の1冊のようです。

その特徴は、まずなんといっても800ページを超える大ボリュームでしょうか。SharePointの基本から応用まで幅広くカバーされ、その奥深さを実感できる構成になっています。

そして実際に中身を覗いてみますと、例えば「目的別に作成された複数のサイトをハブサイトでつなぐことで楽に運用管理する方法」が詳しく説明されているなど、SharePointの運用や管理に関する実用的な情報が満載です。

実際にこういう勉強をするときって、「何ができるのか」「どう役に立つのか」のイメージや理解がすごく大事な気がしますね。
また初心者でも理解しやすいよう図説も多く含まれているのも安心です。

これからSharePointを学びたい！という方はもちろん、基本的なことは身につけたけどさらにスキルアップしたい！という方、そしてMicrosoft 365の他のツール(TeamsやOneDriveなど)を運用している企業にとっても必携の書となっています。

さて、続きましてはこちらの1冊。ぱっと見でググッと惹かれました。

因果推論の科学「なぜ?」の問いにどう答えるか
ISBN：4163915966

本書は2022年に文藝春秋より発行されました。原著はジューディア・パール氏とダナ・マッケンジー氏による「The Book of Why: The New Science of Cause and Effect」。

パールは「人工知能分野の巨人」と呼ばれる研究者で、ベイジアンネットワークの開発により人工知能に確率論的アプローチを導入しました。この業績により、彼は人工知能界のノーベル賞と言われるチューリング賞を受賞しています。

また、ダナ・マッケンジーは科学ライターでありチェスの達人でもあるそうです。

さて、早速ですが、現在のAIには重要な限界があり、その1つが「反事実的な問い」に対する推論が困難であることが挙げられています。これは、「もしも〇〇だったらどうなっていただろう?」という、”データとして存在する「事実」”に反して想像上の世界で何が起こるかを考えることが難しい、ということだそうで、パールは反事実的推論を「人間を人間たらしめているもの」としてとらえています。

では「強いAI」を作るにはどうしたら良いのか。パールは、人工知能の草分け的存在として知られる研究者、アラン・チューリングの言葉に注目します(ちなみに、パールが受賞した「チューリング賞」はもちろんこの方の名前にちなんでいます)。

チューリングは、コンピュータが思考できるかどうかを判断する基準として「チューリングテスト」を考案していますが、それに合格するための方法も提案していました。それが「人間の大人を模倣したプログラムを作るよりも、子どもを模倣したプログラムを作るほうが合格しやすいのではないか」という言葉です。

(ニュアンスは異なりましたが、実は中の人も人工知能について「原始的な生物を模したプログラムを作って40億年の進化の過程をPCの処理能力で時短すれば、人工知能になるのでは」と考えたことがあるので「おっ！」と思ったり…)

パールは「子どものような知性を持つ機械を作らなければ、人間のような知性を持つ機械は作れないだろう。そして、この種の知性で鍵となるのは因果関係の知識だろう。」とし、人間の子どもが外部からの情報を受け取るように、機械に対して種々の方法で因果関係の情報を入力する必要があると述べています。そして機械、および人間に因果関係の知識を表現させるために考察した方法が以下のアプローチであり、本書の主題となっています。

<因果推論の新しいアプローチ>
因果ダイアグラム：複雑な因果関係をグラフィカルに表現する強力なツール
3段の「因果のはしご」：因果関係を理解するための体系的なアプローチ
記号言語：因果関係を明確に表現するための方法

これらについて掘り下げるには中の人の理解度に限界があるため控えさせていただきますが、パールの研究は、現在のデータ駆動型AIの限界を超え、より人間に近い推論能力を持つAIの開発に向けた新しい方向性を示すものとなっています。AIの研究者だけでなく、AIと人類の未来に関心を持つ方にとっても非常に興味深い1冊だと思います。

それでは最後に、特に良い買取額をお付けできたものの一覧を掲載いたします。