2024/11/22
手摺り木版和装本【41冊 85,650円】
買取日記ジャンル
今回はまとめて41冊の手摺木版による和装本を買い取りさせていただきました。
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木版を用いた印刷物といえば木版画である浮世絵が連想されると思いますが、デジタル印刷がなかった江戸時代において、木版は書籍や絵画を複製する一般的な手法でした。そのため、浮世絵だけでなく小説、百科事典、歌舞伎役者絵など、様々な種類の書籍が木版で印刷されていました。
また、木版では多色刷りが可能となり、庶民にも親しまれる技法として発展したのです。
江戸時代の小説は、崩し字で書かれており、現代人には読解が難しいものが多いです。しかし、小説に添えられた絵の鮮やかな色彩や繊細な描写は、今もなお人々を魅了し続けています。これらの絵は、当時の風俗や人々の暮らしを生き生きと描き出し、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わわせてくれます。小説の内容を完全に理解できなくても、絵を楽しむだけでも、江戸時代の文化に触れることができます。
松村春輔著『復古夢物語』について
松村春輔は、幕末維新期を題材とした小説で知られる明治時代の作家で、上の画像中の『春風日記』『復古夢物語』の著者です。(本ブログ一番下の表では『春風日記』の著者を「桜雨園主人」としていますが、これは春輔の別名です。)
『復古夢物語』は、幕末維新期という激動の時代を背景に、歴史上の実在の人物や出来事を題材にしながら、作者の想像力を加えて物語を展開させた作品です。
一部色刷の絵も添えてあって、コレクターの間でも注目される作品です。
『故実叢書 装束織文図会』について
『故実叢書』(一番上の画像の3段目)は宮廷や武家の礼法、儀式、装束など、日本の伝統的な文化に関する知識を体系的にまとめた書物のことです。うち、『装束織文図会』は主に公家や武家の装束に関する色彩や文様を詳細に図解しています。下の画像のように装束の色目や文様まで彩色図で示されています。
これらの書物は、古くからの慣習や制度を後世に伝えるために編集され、現代においても高い価値を持っています。
中林竹洞『竹洞花鳥画譜』について
最上部の画像の中に表紙の写真はありませんが、今回買い取らせていただいたものの中に『竹洞花鳥画譜』もありました。作者の中林竹洞は、江戸時代から明治時代にかけて活躍した文人画家です。特に花鳥画を得意とし、その作品は高い評価を受けています。
『竹洞花鳥画譜』は花鳥画を集めた画譜です。画譜とは、絵画を模写するための手本となる書物のこと。竹洞が描いた美しい花や鳥の姿を、詳細に刷り起こした作品集と言えるでしょう。
今回の買取について
どれもとてもいい状態で届いて、綺麗な絵もたくさん入っていました。
状態の良さ、市場での評価、そして作品が持つ歴史的価値などを総合的に判断し、85,650円とさせていただきました。
下表は今回の買取額をつけさせていただいた木版画の一覧です。似たジャンルの木版画のご売却をご検討中の方はご参考まで。
絵師・作家 | タイトル | 買取額 |
歌川国輝画 松村春輔著 | 松村春輔著 復古夢物語 明治6年~ | 19,500 |
安達吟光画 桜雨園主人著 | 桜雨園主人著 春風日記 初編十二冊 明治15年 | 16,300 |
今泉定介 編 | 故実叢書 装束織文図会 他 | 44,850 |
中林竹洞 | 竹洞花鳥画譜 | 2,500 |
中林竹洞 | 竹洞四君子画譜 | 2,500 |
スタッフJ