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スタッフブログ 買取日記

2024/11/15

健康などの実用書買取【73冊 9,299円】

今回はマインドフルネス、薬草や健康に良いレシピ集など、身体と心を労るための書籍を中心に買取しました。

「医食同源」とはよくいったもの

私達の身体はほぼ日々の食べ物から形造られます。そのため、身体に良い食事をすることは薬を口にすることと同じこと、健康を保つために必要だという考え方が「医食同源」です。中国古来の考え方のように思われるこの四字熟語ですが、意外なことに日本で1970年代に造られた語であるとの説があります。1972年の日中国交正常化を機に中国文化の1つである中医学を知ろうという機運が持ち上がり、その中で生まれたのだとか。

どちらにせよ、美味しい上に身体にも良い食事を提案してくれる本はありがたいですね。例えば、こちらの本。

『クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん』長谷川 あかり (著),2022,KADOKAWA

より紙面をチラリ。

「美味しいものはナントカと脂肪でできている」という某商品の秀逸なコピーではありませんが、ヘルシーなものってときに食指が動かないこと、ありませんか?

でも、こちらの本のお料理はどれも美味しそうなのです。しかも、身体に良いのだから沢山食べても罪悪感がありません!(笑)

他にもこちら

『食べる薬草事典―春夏秋冬・身近な草木75種 (大地の薬箱)』村上 光太郎 (著),2010,農山漁村文化協会

のように身近にある草木75種にどんな効能があるのかを紹介しつつ、美味しく食べる料理方法を紹介する本などもありました。

こちらも内容をチラリ。

春におなじみの野草、タンポポ。タンポポコーヒーはわりとメジャーな利用方法ですが、炒めてよし、茹でてよし、和え物にしてよしと、意外な調理方法が沢山紹介されています。各薬草の「美味しさ」「甘さ」「苦さ」なども+や-で程度が表示されていて、味の想像がつきやすいところも親切。

その薬草のキャラクターにもよりけりですが、薬草を利用した酵母やそれで作ったパン、薬酒やお茶の作り方など想像以上にバリエーションがあります。しかも、草木の茂る春・夏に限らず秋・冬の植物も結構掲載されているので一年中楽しめそうですね。ただ、立入禁止の土地に入って勝手に採取したり、遭難したりするようなことだけはないようお気をつけください。

本は旬のうちにお売りください

人間の健康について突き詰めていくと、自分を普段取り巻く環境全般に目が向くようになりますよね。今回お売り頂いたものも日常的に実践できるストレッチや料理を扱う一般書から、より専門的な医学書や、医学書の中で扱われる薬品に関連してか有機化学の専門書に至るまで様々な本がございました。

今回、ダントツの買取額の1冊1,410円となったこちら

『ウォーレン 有機化学(上)』J. Clayden /N. Greeves /S.Warren 著,野依 良治/奥山 格/柴崎 正勝/檜山 爲次郎 監訳,2015,東京化学同人

もそんな専門書の中の一冊です。

上の画像に写っているように第2版となります。初版は2003年に同じく東京化学同人から出版されているのですが、現在、初版の買取額は今回の2版の1/4~1/5になるかと思います。書込みやイタミの状態によってはお値段がつかない可能性も…。

こういった専門書は大学テキストとしての需要も高く買取も大歓迎なのですが、先進的な技術や知識を学ぶ必要のある学生さんや研究者さんには当然、最新の情報が必要とされます。

もう読まないものがありましたら、是非、古くなる前の旬のうちにお売りください。

 

DVDやBlu-ray、CDも買取ります

こちらのスタッフブログで紹介するものは書籍が中心ですが、当店ではDVDやBlu-ray、CDなどのディスクものの買取も歓迎です(なお、VHSやLPは買取対象外となります。申し訳ございません。)。CDはクラシック音楽に良い買取額が付く傾向があります(過去の買取例(1)(2)もご参照ください。)。

今回はこちらのDVD

『ハンナ・アーレント [DVD]』マルガレーテ・フォン・トロッタ 監督・脚本,2012,ポニーキャニオン

の紹介をしつつディスク買取歓迎!をアピールしていきたいと思います。

『エルサレムのアイヒマン』執筆の舞台裏

ハンナ・アーレントについてはご存知の方も多いでしょうから詳しくは述べませんが、20世紀を代表する政治哲学者で、かの哲学者ハイデガーの弟子でした。アーレントはドイツ系ユダヤ人であり、ナチスからの迫害を逃れるため夫と共にアメリカに亡命しました。

本作は、ナチ親衛隊員として多くのユダヤ人の強制収容所移送に関わったオットー・アドルフ・アイヒマンが、戦後イスラエルのモサド(情報機関)に逮捕されたところからお話が始まります。以前、こちらの記事で触れたようにアーレントはエルサレムで断罪されることになったアイヒマンの裁判を傍聴し、その記録が「ザ・ニューヨーカー」誌に連載記事として掲載されます。

そして、その掲載原稿をまとめて出版した書籍が『エルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告』です。

映画の中ではアーレントが自ら傍聴を希望したこと、記者としてエルサレムに行くこと自体に賛成した人・反対した人がいたこと、記事を書くまでの苦悩や、雑誌発売後の凄まじいバッシングや友人との決別などが描かれます。そして、かつての恩師ハイデガーとの恋も…。

ユダヤ問題の根の深さ

さて、『エルサレムのアイヒマン』のタイトルの副題は「悪の陳腐さ」となっていますが、本映画作品中では「悪の凡庸さ」と訳されています。どちらも主張する内容は同じことで、“世界最大の悪はごく平凡な人間が作り出すものである”といったことを述べた言葉です。

アイヒマン法廷ではナチスに家族を惨殺された人々が次々に召喚され、いかに非道な目に遭わされたのかを証言していきます。アイヒマンは前述のように強制収容所へのユダヤ人移送命令について重大な指揮権限を持ってはいましたが、証言された事項全てに関わっていたわけではありません。彼自身もそのように証言します。また、彼自身は反ユダヤ主義者というわけではないこと、彼は組織の命令を遂行したに過ぎない等の主張を繰り広げていくのです。彼自身の中では個人的な激情や憎悪によって虐殺を指揮していたのではなく、ナチの役人としての役目をまっとうしていただけだ、という認識なわけですね。(なお、本作中では実際のアイヒマン裁判のオリジナルの映像と肉声がそのまま使用されていて、彼の態度や「小役人のよう」だと形容された姿などを確認することができます。これによって作品全体のリアリティが増しています。)

裁判を傍聴していたアーレントは、アイヒマンをナチスの悪全てを負った存在として裁こうとする流れに疑問を持ちます。彼女の目にうつったアイヒマンは、思考能力を停止させた凡人でしかなかったのです。そこで出てきた表現が先ほどの「悪の陳腐さ(もしくは凡庸さ)」です。

この「悪の凡庸さ(もしくは陳腐さ)」については未だに多くの書物が解釈し続けているテーマでもあるため、これ以上深堀りするのはやめます。1つ言えるのは、当時、この彼女の言葉が「彼は組織の任務を遂行したにすぎない凡人なのだから、彼を裁くのは間違っている」と主張している、と多くの人に誤解されたことです。

いち視聴者としては、自身も2ヶ月間収容所で暮らし、命からがらアメリカへと亡命し、その後夫と共に18年間も無国籍のまま(映画でそのように説明されています。)アメリカで過ごしたという壮絶な過去を持つ当事者にもかかわらず、このような中立的な意見を提出できる彼女の“思考する人”としての徹底したプロフェッショナリズムに格好良さを感じたのですが、自分自身や家族が恐怖のどん底に落とされた経験を持つユダヤの人たちからは「極悪人を擁護している!なんて奴だ!」と捉えられても仕方なかったのでしょうね…。

この傍聴記事が掲載されたのはアーレントがその主著『全体主義と起源』を発表した後で、あり彼女はすでに有名人だでした。そのため、当初から編集部もその知名度にあやかった売れ行き増を期待しており、実際、同記事に対する世間の反応は想像以上のものでした。

その「想像を超える反応」は、良い意味ではなく悪い意味でであったのですが、もしこの記事に記載されていた内容が上記の「悪の凡庸さ」発言だけれあれば、そこまでスキャンダラスなものにはならなかったのかも知れません。彼女は「ユダヤ人指導者たちがナチスと協力関係にあった」ということまで指摘したのです。

当然、「アイヒマンの擁護だけでなく、同胞まで貶めるのか!」という怒りの声が渦巻きます。それがいかに強いものだったのかは作中でも描かれていますが、現実はもっと凄まじいものであったのであろうことは想像に難くありません。

とはいえ、旧友関係にもヒビが入ってしまうし、パッシングを避けて田舎に逗留中の彼女の元にまでエルサレムからの脅しの使者はやってくるし、ここまでのヒステリックな反応になるのはどうなの?と引いてしまう部分が正直あるのですが、その反応の大きさこそが私達東洋人では想像もつかないユダヤ問題の根の深さの証左なのでしょう。

現在のパレスチナの問題もそうですが、「そういう考え方もあるのかもね」と、他のあり方を許容できないものなのでしょうか・・・いや、そう簡単にはできないんでしょうね。

※誤解されがちですが、彼女はアイヒマンが極刑に処されるべきとした判決自体には反対していません。

メイキングまで観るべし!

さて。こちらの商品の本編部分、実は以前にプライベートで観たことがあったんです。しかしながら、その時には腑に落ちなかった部分がありまして。それが本作における恩師ハイデガーとの恋の描写と解釈でした。

アーレントはハイデガーの優秀な弟子であったと同時に愛人でもありました。うら若きアーレントと出会った当時、ハイデガーはすでに高名な哲学者として、信徒とでも呼べるような熱狂的な学生たちに取り囲まれる人気教授でした。アーレントにとっても憧れの人です。映画の中ではアーレントの回想シーンとしてハイデガー像が断片的に挿入されます。ところが、ハイデガーはある時ナチス支持を表明し、ナチ党に入党してしまうのです。ユダヤ人であるアーレントは大変なショックを受けるのですが、恋人で恩師のハイデガーを吹っ切る、もしくは深く恨むというより、アーレントはずっとその想いを引きずっているかのような描かれ方をしています。

そこでふとした疑問が頭をもたげます。このハイデガーへの想いがアイヒマンへの擁護とも取れる結論を導き出しているのではないか?と。

上の画像はDVDケースの裏側ですが、「今明かされる、アーレントが本当に語りたかった感動の<真実>。」という文字が踊ります。この「感動の<真実>」とやらが「恩師への恋心と未練なんですっ」というのではあまりに、それこそあまりに陳腐ではないでしょうか?世界的政治哲学者であるアーレントにも大変失礼です。この部分が以前の視聴時には非常に強く引っかかっていたのですね。

しかしながら…そのハイデガーとの恋のエピソードが映画全体の中に占める役割について、メイキング画像で監督による説明がなされています。それを観ることで「あ、そういう意図なのか」とスッと腹落ちした部分があったのですが・・・長く書きすぎてしまったので、今回もここまで!

本DVDをご入手の際には、ぜひぜひメイキングまでお楽しみください。

 

今回の高額買取商品一覧

今回は250円以上の買取額が付いたものを一覧にしてあります。タイトルだけでも内容が気になるものが沢山あります。「死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事」( スティーブン・R・ガンドリー (著), 川岸 史 (訳),2022,ディスカヴァー・トゥエンティワン)とか。

これから寒くなってくるとただでさえ体調を崩しがちです。賢く本で知識をつけて若さと健康を保ちたいものですね。

『自分を縛る“禁止令”を解く方法: 見えない「利得」に気づくと、すべての問題は解決する』『マインドフルネスストレス低減法』『Obsidianで“育てる”最強ノート術 ?? あらゆる情報をつなげて整理しよう』『クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん』『大学入試 知らなきゃ解けない古文常識・和歌 (赤本プラス)』『食べる薬草事典―春夏秋冬・身近な草木75種 (大地の薬箱)』『【新装版】宇宙にたった1つの神様の仕組み』『死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事』『大事なコトだけまるわかり! 口腔マイクロバイオーム』『ハンナ・アーレント [DVD]』『医学部の英語』『ウォーレン 有機化学 上 第2版』

クリックすると拡大表示されます。

(買取額は市場の需要と供給のバランスにより変動するため、現在とは異なる可能性がございます上記は2024.10.30時点の金額です。)

今回も良書をたくさんお売りいただき、誠にありがとうございました!

スタッフN

※下の画像の書籍は送っていただいた本のほんの一部です。

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