2024/10/22
英語学習書などの買取【63冊 5,399円】
今回は英語学習に関連する書籍を中心に、禅やインド仏教などをルーツに持つ瞑想や呼吸法など、健康的に生きるための指南書といったような書籍を買取いたしました。
自動翻訳、お世話になっております。
毎度の如く、買い取りさせていただいた本の中から気になった本をご紹介しつつ、当店買取のPRをしていきたいと思います。
やはり今回、目を引いたのは英語関連の本です。
特に気になったのはこちら
『自動翻訳大全 終わらない英語の仕事が5分で片づく超英語術 (ENGLISH HACKER’S HANDBOOK)』 坂西 優/山田 優 (著),2020,三才ブックス
です。
皆様は英語、お得意ですか?
当店は洋書の取り扱いもしておりますので、海外の方から在庫についてのお問い合わせのメールや買取希望のご連絡をいただくこともままあり、お世話になっているのが「自動翻訳機能」です。お客様から頂いたメールの文面がちゃんと理解できているか、お客様に返信する文面にちゃんと自分が意図したメッセージを書き込めているか、英日、日英双方向の確認に利用することができるので大変便利です。
しかし。この翻訳機能(Goo◯leさんやCha◯ GPTさんなど)、例えば、英→日翻訳をお願いすればスラスラと訳してくれはするけれど、出力された日本語文を読んでみると違和感があること、ありませんか?
こちらの本は、そういった「自動翻訳ね~、確かに使えるけど、全幅の信頼を置くというのはちょっと…そこまでは使えなくない?」という人に向けて、「それは自動翻訳の機能が悪いんじゃない!問題あるのは人間の使い方!コツ次第でもっと便利に使えるから!」というノウハウを教えてくれる本なのです。
日本語のファジーさ—「うなぎ文」
本書を開くと、「まえがき」にこんな話が出てきます。
「たとえば、飲食店で「私はうなぎね!」と注文すると、Google 翻訳の場合、「I am an eel .( 私はうなぎです)」と直訳してしまうので誤訳になってしまいます。」(「まえがき」p2より)
この話は「うなぎ文」として日本語学の話題に頻繁に出てくる例え話で、金田一春彦氏が1957年に著書『日本語』(岩波新書)で言及したことに由来し、さらに1978年に言語学者の奥津 敬一郎氏が執筆した『「ボクハウナギダ」の文法 ダとノ』(くろしお出版)で話題にしたことで有名になったものです。
日本語母語話者であれば、その意味するところはもちろん「私はうなぎである」…わけはなく、「私はうなぎを注文します」だと分かりますよね。この「注文する」という動作の部分が「私はうなぎね!」では省略されてしまっているわけで、日本語にはこのような例(先述の奥津氏の著作では「六本木は溜池だ(電車で六本木に行くなら溜池山王で乗り換えだ、の意)」などの例もあげられています。)がたくさんあります。
このようなファジーさを持ったまま通じる言語として運用される日本語の文法について、言語学的には様々な解釈が存在するようなのですが、深堀りすると紙幅が足りなくなりますので、いつものごとくこの話題はここまで!気になる方は上記『「ボクハウナギダ』~』や、最近の本ですと『
翻訳する前のひと工夫
さて、上記のようにある種ファジーさを持ったままでも結構通じる日本語ですが、自動翻訳機にはそんなことがわかるはずありません。
この本が指摘しているのは(日本語から英語への変換を前提とした場合)、その日本語の曖昧さを無くしてインプットすることで“自動翻訳の使えなさを無くすことができるよ!”ということで、自動翻訳を使う前にちょっと気をつけたら良いノウハウがこのほかにもたくさん詰まっているのです。
しかも、本書では打ち込まれた文章の翻訳だけでなく、音声入力にも対応。全体を「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つのスキルで章分けし、それぞれの章で自動翻訳の精度を上げるテクニックを掲載しています。
本書の目次をチラッと。(クリックで拡大されます。)
「読む」「書く」だけじゃなく「聞く」「話す」もアプリで解決!
そして、言語にまつわる学習で困りものなのが「聞く」「話す」の練習の部分かと思います。やはり言語の習得にあっては対人対面での練習ができれば相手のフィードバックも得られるし、一番の近道なのでは…と思いはするものの、なかなかそんな時間も作れないし、相手を探すにも一苦労ですよね。
でも、安心してください!そんな時には便利なアプリがたくさんあります。これらのアプリについても一昔前まではその精度に改善の余地ありだった感がありましたが、時代は進化しています。本書ではそういった役立つアプリも紹介してくれているのが嬉しいところです。
上画像:コラム「ビジネス英語が聞ける!音声翻訳アプリデータ集」より。左のページには「長い英語を書き起こせる」アプリ、右は「チャット形式で履歴が残る」アプリが紹介されています。こちらにはそれぞれのアプリの名称や詳細なデータ(会話翻訳に対応しているか、言語の自動検出に対応しているか、など)が記載されておりますが、その部分にはモザイクをかけさせていただきました。気になる方は、是非、本書をお買い求めくださいませ。
英語学習を放棄するのが目的、ではない
本書の副題が「終わらない英語の仕事が5分で片づく超英語術」であるため、「AIがあれば英語なんか勉強しなくて良くなるじゃない~♪」、「人間は頭を使わず楽すればいいじゃない~♪」というような趣旨の本だと誤解を受ける向きもあるかと思いますが、そこは違う、ということを最後に言わせていただいて締めたいと思います。
確かに、本書は時間のかかる部分を効率的に自動的に翻訳してもらうためのハウツー本ではあるのですが、最終的にそのスキルを伸ばすためには「英語とはどんな性質の言語で、対して日本語はそれとはどのような違いを持った言語なのか?」ということを理屈っぽく考えることが必要とされます。その違いがわからなければ、いつまでたっても「うなぎ文」を直訳しようとするその姿勢が矯正されることはないでしょう。
確かに、便利なツールを傍らに置くことで英単語をいちいち覚える必要がなくなる、結果、単純な記憶力は低下するとかいった影響はあるかも知れません。しかし、言語そのものに対する理解力は変わらず、むしろこれまでい以上に必要な能力となっていくような気がした読後でした。
今回の高額買取商品一覧
今回は200円以上の買取額が付いたものを一覧にしてあります。
クリックすると拡大表示されます。
(買取額は市場の需要と供給のバランスにより変動するため、現在とは異なる可能性がございます。上記は2024.10.10時点の金額です。)
2冊ほど洋書があるのにお気づきかと思います。
左『Terra Viva: My Life in a Biodiversity of Movements』(Chelsea Green Pub Coより刊行)、右『Oneness vs The 1%: Shattering Illusions, Seeding Freedom』(New Internationalist Publications Ltdより刊行)で、両方とも著者はインドの哲学者で環境活動家であるヴァンダナ・シヴァ氏の著作。環境問題とジェンダー問題を結びつけた「エコフェミニズム」という概念を提唱した人物と言われています。環境問題の中でも人間の生命活動に直結する食・農業に特に注目した活動で知られているようですね。
グローバリゼーションと環境破壊の問題を取り扱った本などの買取事例も過去にご紹介いたしましたが、そちらのケースは全て日本語で書かれた本でした。しかし、そういった話題はもちろん全地球規模的なものですから、むしろ外国語で書かれているものの方が多く、邦訳されていないものも多数あります。当店では、そういった未邦訳の洋書についても買取歓迎です。
「自分ではもう読まないけれど、次の人にも是非知ってほしい。」
そんな本がありましたら、どうぞ当店にお売りください。次の方に繋ぐお手伝いをしてまいります。
今回も良書をたくさんお売りいただき、誠にありがとうございました!
スタッフN