今回は健康や医学、料理や美術、歴史といった幅広い書籍を買い取りさせていただきました。

中にはなんと1,000円を超える査定額の書籍もあり、人々の関心の大きさがうかがえる内容でした。

さて、今回もお譲りいただいたもののうち、高額で買い取らせていただいた書籍を2冊ご紹介します。

まずはコチラ

「食生活と身体の退化: 先住民の伝統食と近代食その身体への驚くべき影響」
(ISBN:4540102699)

原著はW.A.プライス博士による著書「Nutrition and Physical Degeneration」(1939年初版、なんと85年も前！)

日本では初版発行からおよそ40年を経た1978年に片山恒夫氏によって初めて翻訳・自費出版され、その後2010年にNPO法人恒志会から増補・改訂して出版されたものが本書です。
21世紀に入ってなお注目されるその内容とは果たして…

まず、プライス博士は愛するわが子を虫歯をきっかけとした心臓病で失くしており、そのことが口腔衛生や虫歯の全身的影響、ひいては食生活がもたらす心身への影響を研究する大きな動機となったとされています。

豊かに便利になっていく食生活に対して懸念を抱き、90年も前から研究を始めたプライス博士。
その研究手法は、様々な民族において、近代化されつつある集団とそうではない集団を、ただひたすらに比較することでした。

目次から察する労力

世界の諸民族の口腔についてフィールドワークを行うというのは、並大抵ではないことが想像できます。
その途方もない研究の成果が写真とともに余すところなく記され、疫学的なアプローチによって現代文明が抱える問題の「食」を通じた解決を目指しているのでした。

豊富な写真

また、諸民族の伝統的な生活様式が詳細に記述されているという点で、人類学的観点からも貴重な資料として受け止められているようです。

なお、日本語版の増補・改訂にあたっては、より平易な表現を用いて一般の方でも読みやすくなるよう配慮がされています。

現代の医学・歯学からするとまた見解が異なる部分もあるかもしれませんが、多角的な視点で「食」を見直す本書だからこそ、今も多くの人に求められているのだと感じました。

そして続きましてもう1冊

「アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ──食事で変わる心と体」
(ISBN:4770502141　)

インド・スパイス料理研究家である香取薫氏と、Satvikアーユルヴェーダスクール代表の佐藤真紀子氏による共著で、径書房より2012年に発行されました。

本書は古代インドの生命科学「アーユルヴェーダ」に基づいて、同じく「食」を通じて心と体の健康を追求する内容となります。
アーユルヴェーダといえば、日本では学問的に捉えられることは多くない印象ですが、実際には内科・外科・耳鼻科・小児科・精神科など8つの診療分野をそなえたれっきとした医学として、特にインドにおいては民間療法とは一線を画すものとして重んじられているそうです。

本書の前半はアーユルヴェーダの目的や理論について語られており、3種類からなる生命エネルギー「ドーシャ」の働きと読者自身の体質への理解を深め、ドーシャのバランスを整えることの重要性が説かれています。

図表なども用いてわかりやすく説明されている

あくまでもドーシャのバランスの崩れに着目し、足し算・引き算で捉えているため、一概に「何が効く」というものは無く、アプローチもさまざまです。
一般的な西洋医学にみられる「病と薬」の明確な対応がないのは興味深いですね。

そして理論の後には、それを取り入れたおいしそうなレシピがずらり！

じゅるり

普段作っているご家庭での料理にアーユルヴェーダの要素をプラスしているということで、お手軽かつ日本人の好みにも合うよう工夫がされているようです。

また、料理そのものにとどまらず、本書の後半では食べ方のコツからよくある症状別の対処法まで記載されており、まさに「医食同源」の実践をとことん目指した1冊となっています。

キッチンファーマシー(台所薬局)というらしいです

さて、ここまで「食」にまつわる2冊をご紹介しましたが、ラインナップを見渡すと、他にも東洋医学を含めた「健康」への探求心が伝わってきます。

大切にされていた数々の本たちを通して、そういった情熱や生き様みたいなものを想像できるところが、古本屋のおもしろいところかもしれませんね。

他にも高額査定の商品がぞろぞろ(お譲りいただいたうちのほんの一部となります)

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この度は貴重な書籍を多数お譲りいただきありがとうございました！

スタッフK

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