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スタッフブログ 買取日記

2024/07/29

哲学書等の買取【341冊 34,523円】

今回は哲学や文学などに関する書籍をたくさん買い取らせていただきました。

その中で気になったことを実際の商品に触れつつ書いていきます。

2024年はカフカ没後100周年

昨年から今年にかけて『カフカ断片集:海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ』『決定版カフカ短編集』(新潮社、ともに頭木弘樹 訳)が発行されたり、某有名書店さんでカフカの著作や関連書籍を集めた記念フェアが開催(2024年6月末で終了)されたりするなどカフカに関連したイベントが目白押しですが、それもそのはず、2023年はカフカの生誕140年、今年2024年は没後100年にあたる記念年なのです。

そんなカフカ・イヤー真っ最中に買い取りさせていただいたのがこちら。

『全12巻揃 決定版 カフカ全集』1980, 新潮社

です。全巻が揃った状態で、しかも紙面もキレイで月報も付いていました。

実はこちらの全集には上の1980年版と1992年版が存在します。1992年の全12巻セットはその年の東京国際ブックフェア開催に合わせ復刊したものです。両者ともマックス・ブロート編の全集の翻訳であり紙面は以前のまま復刊したようですが、目立った違いはその表紙。

92年版の表紙材質は紙、80年のオリジナルは布製(下画像参照)です。やはり布の方が高級感があります。

2024年も半ばを過ぎ、多くのカフカ関連イベントが終了してしまっていますが、早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)では現在も「2024年度春季企画展 カフカ没後100年記念 「変身」するカフカ展」を開催中のようです(会期 : 2024年4月26日(金)-9月16日(月・祝))。

こちらではカフカの代表作『変身』にフォーカスし、主人公ザムザが変身してしまった虫「ウンゲツィーファー」のイメージを探るため、装丁画や訳者ごとに異なる訳文に注目した展示がされている様子です。

何故このような装丁画や訳の違いが発生しうるかと言うと、変身した虫の種類までカフカは作中で明言していないからです。筆者も『変身』を読んだ当時、アレコレと悲惨な最期を遂げることになるその虫の姿をいろいろと想像し、ムカデのような感じをイメージしたものですが、一般的にはゴ・・・Gになったのだと解釈されることが多いようですね。

ちなみに、万年筆をはじめとする高級筆記具や革製品、ジュエリーなどを手掛けるブランド、モンブラン(MONBLANC)では1992年以来、毎年偉大な作家をトリビュートした高級ライン『作家シリーズ』が発表されており、2004年にはカフカの『変身』をイメージした商品が作られました。下の画像はその万年筆・ボールペン・ペンシルの3点セット。全世界限定4,500セットが売り出されました。

その万年筆のペン先に刻印された虫の姿がこちら↓です。

おお…。すごく・・・Gです。モンブランの解釈はこうなったのですね。

皆様はどの虫を想像されますか?

多くの読者を惹きつけてやまないカフカの世界、まだ触れたことのない方はぜひ今年のうちに触れてみてはいかがでしょうか。

実は高級筆記具の買取もしています

ちなみに、上の画像は当店の別事業「万年筆買取ノースペンズ」にて買い取らせていただいた商品のものです。【ノースペンズにおける当買取商品紹介ブログ記事はこちら

次の必要とする人へ繋ぎます。」をモットーに古本の買取をしている当店ですが、高級筆記具も本と似たようなニーズ、すなわち —想いののった商品だから捨てたくない。次に使ってくれる人がいるのなら、その人に役立ててもらいたい—  が寄せられるため筆記具の買取もしております。ご興味のある方はこちらもあわせてチェックしていただけますと光栄です。

※万年筆の買取についてご質問のある方は下のバナーより専用サイトに入り、お問い合わせフォームよりお尋ねください。担当のスタッフがお答えします。

 

東京国際ブックフェアの復活求む。

ところで、上で少し東京国際ブックフェアの話題が出ましたので、雑感を。

自国だけでなく海外の出版社もずらりと本を並べる「国際ブックフェア」。そこは版権等をめぐる業者同士の商談の場ともなっています。

しかし、それと同時に一般客向けに特価で本を発売するイベントとしての顔もあり、異国の珍しい本を入手することもできるかも知れない、本好きならば是非行ってみたいイベントです。毎年、世界各地、様々な場所で国際ブックフェアが開かれています。

東京での同イベントは1984年に日本書籍出版協会の主催で始まったのが原型と言われ、池袋のサンシャイン・シティや東京都立産業貿易センター、東京国際見本市会場(東京ビッグサイト開設に伴い閉場)、幕張などで開催されてきました。そして、現在。2016年の開催を最後に一度も開催されていません。

2017年当時はフェアの「廃止」ではなく「休止」と、あくまで「またいつか再開するから!頑張るから!」というニュアンスを漂わせたアナウンスがされていたものの、結局現在に至るまで復活の兆しも見えません。

 

1996年をピークに出版産業の市場規模は縮小を続けていると言われる、いわゆる「出版不況」。これには日本の「出版社-取次-書店」間の硬直した仕組に原因があるとも言われます。また、電子書籍化にうまく対応できていないことが拍車をかけているのだ、とも。

これらの背景が東京国際ブックフェア復活に影を落とす直接の要因となっている…のかは正直分かりません。しかし、同じような課題に直面していても良さそうな他国、例えばアジアの例だけ見ても国際ブックフェアが開催されている(2024年では北京、韓国、香港、台北など)ことを思えば、理由は別のところにあるような気もします。

ここ数年ほど、独立系書店の増加であるとか、インバウンドの伸びであるとか(日本の書店に訪れる外国人の方は多いようですよ)、「日本の本屋もまだまだ希望を捨ててはいけないな」と思える動きもある中、もっと大々的に日本の出版文化をアピールできる国際ブックフェアが、再び東京の地で復活することを切に望みます。

「全集の買取はできますか?」

さて、話が大幅にずれてしまいましたが。当店のお得意様であれば、ここまで読んでこんな疑問を持たれたかも知れません。

「あれ?そもそもノースブックセンターって全集は買取お断りじゃなかった?」

—はい、原則「〇〇全集」「〇〇体系」「百科事典」などといった重さと厚みのあるものについては買取をお断りさせていただいております。

(詳しくは以前のブログ記事「当店からのお願い~当店では買取が難しい書籍について~」をご参照ください。)

ただ、上記の記事にも記載のように全集の中でも「一部の個人の全集などは」買取が可能なケースがございます。

今回のカフカ全集のケースでは①現在絶版となっていて希少性が高い②全巻が揃っている③今年話題の作家である 等、高額査定となる条件を重複して満たしていたことから買取をさせていただきました。正直、このようなケースでないと買取が難しいものが多いですね…。

改めて事前見積のススメ

当ブログでも何回か申し上げていますが、上記のような条件を満たした書籍なのか「お客様で判断してから売ってください!」というのはあまりに酷な話です。

そこで当店がお勧めしているのは「事前見積」です。

当店の事前見積サービスでは、実際に本を送る前に無料で買取額の概算をご確認いただけます。

本にもその時々の話題性があり査定額が変動するため、見積で提示した金額は2ヶ月の有効期限付きとはなります。しかし、逆に言えば見積から2ヶ月以内のご売却ならば余程のこと(事前にお知らせいただけなかった通読に支障のあるレベルの傷み・タバコ臭などがある等)がなければ、見積額を保証いたします!

大事な本をやっとの思いで売る決心をし→箱詰めし→送った後に予想より安くてガッカリ

などということのないように、是非、事前見積をご利用ください。

 

今回の高額買取品

下表は今回の買取で1冊300円以上の買取額をつけさせていただいた本の一覧です。似たジャンルの蔵書のご売却をご検討中の方はご参考まで。ISBNのない本でも買取歓迎ですよ!

クリックすると拡大表示されます。

(買取額は市場の需要と供給のバランスにより変動するため、現在とは異なる可能性がございます上記は2024.07.17時点の金額です。)

 

今回も良書をたくさんお売りいただき、また、かなりの長文をお読みいただき、ありがとうございました!

スタッフN

※写真はお送りいただいたもののうちのほんの一部です。

買取依頼したい方はこちらから!