2024/07/16
物理学等理工学書の買取【84冊 8,759円】
今回は物理学をはじめとする理工学書を買取いたしました。特に固体物理学に関連した物性物理学系の書籍が多かった印象です。
早速、どのような買取品があったのか具体的に見ていきましょう!
「固体物理」といえばコレ!
筆者はゴリゴリの文系のため実際に使って学んだことはないのですが、同じような分野の専門書を買い取りさせていただくとよく遭遇するのがこちらの本です。
『固体物理学入門』チャールズ キッテル 著,宇野 良清 ほか翻訳,2005,丸善出版
よく遭遇するのもそのはず、こちらの本は大学で物理学を専攻し、固体物理学を学ぶ学生にとって最もポピュラーな教科書なのだそうです。それは日本の大学においてのみならず、あらゆる言語に訳され、その道を支えてきた・これから支える人々の素地にしっかりと染み込んできた世界的タイトルなのです。
著者のチャールズ・キッテルは固体物理学を専門とするアメリカの物理学者で、半導体の物性、磁性、共鳴現象、超伝導などなどの研究において功績を遺していますが、とりわけ彼の名を有名にしているのがこちらの本だと言えます。(彼の研究者としての功績についてのより詳しい情報は本書の「著者紹介」のページに記載があります。こちらでは長くなりますので割愛します。)
彼の名を冠したこの出世作の執筆には彼自身にも強い思い入れがあったと見え、原著初版を1953年に出版して以来、自身の手で何度も改訂を重ねました。
そして、今回の買取品です。こちらはその最新版・第8版で、「新しい進展を随所に取り入れるとともに、ナノ構造の章を加え、また章の順序を入れ替えて発展の著しい超伝導と磁性体を早い段階で学習するように改められてい」ます( 「」内、本書カバー折返しより引用)。
しかしこちら、最新版とはいえ出版から20年近くが経とうとしていますよね。またそろそろキッテル教授の出番か…?!と期待してしまいますが、教授は2019年に帰らぬ人となりました。当時、御年102歳。死因については特に公表されていませんがおそらく老衰でしょうか。大往生ですね。
図書館からの除籍本は買取対象外です
ところで、今回の本ですが少し気になった点が。それはどこかというと…カバーです。
こちら、カバー巻頭折返しと見返しを拡大した画像なのですが、お分かりでしょうか?カバーに保護フィルムがかかっているのです。
ご存知の方も多いかと思いますが、図書館の蔵書には汚れやヨレ対策のためこうした加工がされています。最近のフィルムには紫外線カット効果があるものなどもあるようです。日当たりの良い図書館でゆったり本を読む…とてもステキな光景ですが日焼けによる劣化はできれば避けたいところですからね。
…話が逸れました。さて、元図書館の蔵書=いわゆる除籍本にはこういった保護フィルムのほかにも蔵書印や貸出カード入れ・管理票等の貼付などその痕跡が認められますが、今回の本にそれはなく、あくまで利便性のために保護シートを貼って個人的にご利用されていたお品物のようで買取OK 、その額も比較的良いものとなりました。
では、もしそのような除籍本の痕跡が残っていた場合はどうなってしまうのでしょうか?
残念ながら当店では元図書館等の蔵書=除籍本(リサイクル図書)は買取対象外とさせていただいております。
その他にも当店では以下のような状態の書籍は買取が難しくなっておりますので、ご参照ください。
画像をクリックすると、このような状態別の買取可否に加え、書籍ジャンルや雑誌ごとの買取可否を説明するページにジャンプします。
古い本、ISBNなしの本、買取ます
今回の買い取り品にはバーコードやISBNコード(本ごとに割り振られた10桁、または13桁の数字)がない古い本もありました。
ISBNコードが日本の出版界に普及したのは1981年ころのことで、それより以前に出版されたこちら
『金属結晶の物理 (現代金属物理シリーズ)』宮原将平 (著)、1968、アグネ技術センター
にも当然ISBNはなく、バーコードもありませんでした。古書店様の中にはこのISBNコードやバーコードのない本は買取不可としているお店もありますが、当店では買取歓迎しています。
裏表紙上にバーコードの記載されたシールが貼られていますが、こちらは当店内で管理する際や、ご購入いただいたお客様にお届けする際に商品の取り違え等が起こらないよう1冊1冊貼っている管理シールです。
本書はAGNE(アグネ)という聴き慣れない出版社から出されました。現在では受託分析・測定・特殊機器の開発・製作のほか、金属や固体物理関連の専門書籍の出版部門を擁するアグネ技術センターがその業務を引き継いでいます。その社名はなんでも、アリストテレス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインという4人のエポックメイキングな偉人の頭文字から取ったものなのだそうで、その自負が本書巻頭に堂々と踊る「類書のない、型破りの金属物理学書」の謳い文句にも滲み出ているように感じます。だからこそ、長年専門家たちに愛される本となり得たのでしょう。
55年以上前に出版された本とあってカバーの縁にも小破れ等あり少し傷んでいる様子ですが、それでも次に読みたい人がいる本である限り当店では買取もいたしますし、その後も大事に保管させていただきます。
こんな本の買取、歓迎です
下表は今回の買取で1冊300円以上の買取額をつけさせていただいた本の一覧です。上で紹介した本含め、当店が「まだ読みたい人がいる、次に引き継ぎたい」と思った書籍への評価となります。似たジャンルの蔵書のご売却をご検討中の方は是非参考にしてみてくださいね。
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(買取額は市場の需要と供給のバランスにより変動するため、現在とは異なる可能性がございます。上記は2024.07.08時点の金額です。)
今回も良書をたくさんお売りいただき、ありがとうございました!
スタッフN
※写真はお送りいただいたもののうちのほんの一部です。