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スタッフブログ 買取日記

2024/06/14

日本語学関連専門書籍の買取【約2,190点 129,701円】

今回は日本語学に関する専門書(短歌や詩などを含む文学に関連するものも含む)を買取いたしました。

今回お送りいただいた本の数やCD・DVDなどは合わせてほぼ2,200点!お送りいただいた中に含まれた『全◯巻△△シリーズ』などは冊数ではなく1セットで1点と計上しているので、おそらくそれ以上の点数をお送りいただきました。

ダンボールの箱数で言えば58箱です…!当店ではご希望がある方には集荷の手配も承っておりますが、出張買取でない限り箱詰め自体はお客様にお願いしております。

本当に箱詰めだけで大変な労力ですよね。一冊一冊大切に拝見しました、ありがとうございます。

 

あまりに沢山の魅力的な本がある中、今回フォーカスできたのはそのうちの十分の一程度だったのですが、その中で良い額で買い取らせていただいた商品を2点、紹介します。

 

①『擬音語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』小野 正弘 (編著),2007,小学館

日本語を勉強している外国の方が「日本語のオノマトペって難しい」と言っているのをよく耳にします。

(お腹がズキズキ痛いとか、キリキリ痛いとか、ずーんと痛いとか…日本語話者ならばそれぞれの違いがなんとなく分かりますが、確かに非母語話者には分かりづらいですね。)

ですが、それらを理解していないのは本当に外国の方だけでしょうか?意外と知らないオノマトペや、間違って使っていそうなオノマトペ、どうやって使ったら良いか分からなそうなオノマトペ、どんな由来かは実は知らないオノマトペ…日本人にとってもオノマトペは非常に奥深いのではないでしょうか。

そんな奥深さがたっぷり味わえる辞典が本書です。

見出し語を眺めているだけでも新鮮な驚きと楽しさを提供してくれます。1ページ読む間にも見知らぬオノマトペに何回も出会います。

うっきそっき”…今までの人生で一度も口から出たことのない言葉です。でも、それぞれの見出し語に過去の文献の中ではどのような使われ方をしているのかの用例も載っているので安心です!(本当に使う機会があるのかは置いておいて…)

うっそり”の用例「うッそりとした婿殿の顔・・・」というのも気になりますね。

そして、“うっしっし”もオノマトペ・・・なのですね。用例の「いやーまいったなこりゃあ。辛抱たまらんわい。うッしッし」も秀逸です。「ほくそえむ」感じが全力で出ていますね。

 

コラムの質も量も大充実です。

(上写真)コラム「オノマトペのもと」から「うと」。「うとうとする」などと使用されるオノマトペの「うと」。そもそも「うと」1つのみを切り出して考える発想自体が新鮮です。

 

 

②『色彩語の史的研究』沖森 紅美 (著)、2010、おうふう

こちらの本も気になりました。言語哲学や認識論などの領域とも重なりますが、ある言語の中ではどのような色を、どのように認識して、どのように記述するのか?とうことは、その文化の中でその色彩がどのように扱われているのか、長い伝統の中で色彩がどのような意味を持ってきたのかを記述することに等しく、その文化をある切り口からより深く理解することに繋がります。

本書は日本の文献に見られる色彩語の体系を歴史的に分析した意欲作ですが、ご存知のように日本語における色を表現する語には膨大な量があります。試しに「日本 伝統色」などとネット検索してみると、サイトによってバラつきはあるものの500種近くの色の名前が紹介されています。私達の言語はなんと繊細な色彩表現を駆使してきたことでしょう。

日本人であってもこれらを体系的に調べ上げるのは骨が折れる(というより、ほとんどの人には不可能なようにも思えます)のに、更に驚くのは、こちらの本の著者が中国出身者であるということです。本書執筆のきっかけは著者の修士論文にあり、その時点では本書の本旨である“色彩語を歴史的に体系的にまとめる”には至っていなかった様子(本書「あとがき」より)で、本書の出来についても非常に謙虚な自評がなされていますが、巻末に付された別表「「かさね」の色彩語彙一覧」だけでも、その周辺を研究されている方には非常なる助けになる成果が出ているのではないかと思います。

(上写真)巻末「「かさね」の色彩語彙一覧」

 

もっともっと細かく見ていきたいところですが、筆者の力量限界もあり今回はここまで!

 

ちなみに、通例のごとく高額で買い取らせていただいた書籍を一覧にいたしますと、下表のようになっております。(今回は1冊あたり400円以上の買取額が付いたものをまとめています。)

クリックすると拡大表示されます。

(買取額は市場の需要と供給のバランスにより変動するため、現在とは異なる可能性がございます上記は2024.5.29時点の金額です。)

 

引き続き、皆様の貴重な専門書をお待ちしております。

今回も良書をたくさんお売りいただき、ありがとうございました!

 

スタッフN

※写真はお送りいただいたもののうちのほんの一部です。

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