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スタッフブログ 買取日記

2020/11/10

経済学、言語学習に関する書籍を多数買取

今回は経済学や言語学習に関する書籍を中心に多数買取させていただきました。以下に特に良い査定額をつけられたものをご紹介します。

「競争の戦略」
「MMT現代貨幣理論入門」
「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版> 株式投資の不滅の真理」
「敗者のゲーム〈原著第6版〉」
「ピーター・リンチの株で勝つ―アマの知恵でプロを出し抜け」
「講談社日中辞典」
「毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962」
「オニールの成長株発掘法 【第4版】 (ウィザードブックシリーズ)」
「ESG投資 新しい資本主義のかたち」
「ミネルヴィニの成長株投資法 ━━高い先導株を買い、より高値で売り抜けろ (ウィザードブックシリーズ)」
「本気で学ぶ中級中国語 CD BOOK」
「本気で学ぶ中国語(CD BOOK)」
「ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階」
「餓鬼(ハングリー・ゴースト)―秘密にされた毛沢東中国の飢饉」
「賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法」
「株式トレード 基本と原則 (ウィザードブックシリーズ)」
「Why?にこたえるはじめての中国語の文法書」
「株式投資 第4版」
「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」
「【例文暗記CD付】表現のための実践ロイヤル英文法」

などなど。

言語学習では英語用のもの(「【例文暗記CD付】表現のための実践ロイヤル英文法」)もありますが、中国語が多かった印象でした。

「中国」に関する本は言語学習書籍のみでなく、中国という国自体に書かれた本も多くありました。

今回の気になる一冊は、そんな中国関連図書であるこちら

「毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962」(2011年、株式会社 草思社)

です。

本書の著者はフランク・ディケーター。香港大学の人文学部教授という肩書を持つ人物のようです(2011年当時)。香港、という地名を聞くと時事的にドキっとしますが、今も香港にて教鞭をとられているのでしょうか。

上記リストを再度よく見てみると、毛沢東時代の大飢饉に関して書かれた本はもう一冊あります。それは「餓鬼(ハングリー・ゴースト)―秘密にされた毛沢東中国の飢饉」ですが、こちらは1999年に発行されていますので、こちらの本はそれから更に10年以上たって出版されたものということになります。

その分、何か新しい情報が加えられているのかがやはり気になりますが、本書「毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災・・・」が出版された当時には、今回の主題である毛沢東が引き起こした大飢饉の直接的要因「大躍進」運動(1958年~)当時の公文書が公開期限を迎えつつあったということが一番大きな違いといえます。その一部にアクセスできるようになったことから可能となった考察・検証が本書の論拠となっているのです。その膨大な資料を背景に描き出された、4500万人もの「大躍進」による直接的、あるいは間接的な犠牲者はどのようにして生み出されてしまったのか、「大躍進」とはなんだったのかに迫る本書は、2011年にノンフィクション分野の本に与えられる英国で最も権威のあるサミュエル・ジョンソン賞を受賞しています。

「公文書が公開期限を迎えつつあった」と書きましたが、では、それは中国が人民に開かれた民主的な国となったことを意味するのでしょうか?残念ながら、全ての公文書が公開されたわけではありません。これも既述のように「一部」にアクセスできるようになったに過ぎなかったのです。とはいえ、その一部でも中国各地から著者が集めた資料の数、1000点以上。それらを読み込むことで、近代共産主義社会として急速な経済発展を目指した指導部と、それに振り回される形となった人民をリアルに描き出しています。4500万人という犠牲者の数、そのうち250万人ほどが拷問、あるいは即時処刑で亡くなっているというデータは、そういったデータに裏打ちされています。

また、著者は、本書を書くにあたり示したかったことの1つに、こういった「大惨劇の際の人間行動の複雑さ」を挙げています。つまり、毛沢東及びその取り巻きである共産党幹部が直接4500万人を葬った諸悪の根源であるわけではなく、普通の市井の人々もその責を受けるべきところがあるのだ、ということです。実際に本書の第4部では「普通の人々の生き残り戦略」として、いかに普通の人々の行動が計画経済を狂わせたのかを見ていきます。そもそもが人民の欲望の度合いを低く見積もっていたと言わざるを得ない共産的計画経済ですが、巨大な権力の腐敗だけでなく、こういった民主の愚かさのようなものも平行して描くところは、事実を客観視しようという著者の誠実さが伺えるところかと思います。

とはいえ、それが特に顕著である第一部を始め、多くの部分を毛沢東の人格攻撃に費やしていることもあり、読み手としては「共産主義といえば絶対悪」というような簡略化されたプロパガンダの影響を少なからず受けているであろう、西側のバックグラウンドを持つ著者の主張を鵜呑みにするのは、危うさも感じるところでした。

・・・そんなことを言うのなら、何を信じればいいのか?!という話になってしまうかも知れませんが、そういった性急な白黒判定を避けるためにも、様々な角度から、様々な人が書いたものを平等に読み込む努力が必要なのではないかと痛感しました。本書は本書で非常に読みやすく、大躍進失敗からの文化大革命の兆しも感じられる、中国史の一時代の雰囲気を味わう名著だったと思いますが、同時代について書かれた別の本も読んで、理解をもっと深めたいと思った次第です。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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