2020/09/09
生物学等の多数書籍買取
今回は生物学関連の書籍を中心に様々な本を買取いたしました。その中でも特に良い査定額をお付けできた本をご紹介します。
「ホッキョクグマ: 生態と行動の完全ガイド」
「Diffusion of Innovations, 5th Edition」
「Restoring the oceanic island ecosystem」
「武器」
「Animal Skulls: A Guide to North American Species」
「マンションにおける共同利益背反行為への対応―区分所有法57条・58条・59条・60条の実務―」
「予測ビジネスで儲ける人びと―すべての予測は予測はずれに終わる」
「交雑する人類―古代DNAが解き明かす新サピエンス史」
「ナウシカ考 風の谷の黙示録」
「鳥の骨探―ダチョウ・ペンギン・アホウドリ・ツル・タカ・ペリカ (BONE DESIGN SERIES)」
「風土学序説―文化をふたたび自然に、自然をふたたび文化に」
「経済史 — いまを知り,未来を生きるために」
「新版 文学とは何か―現代批評理論への招待」
「ペストの文化誌―ヨーロッパの民衆文化と疫病 (朝日選書)」
「鳥獣保護管理法の解説」
などなど。
今回も和書、洋書が交じっておりましたが、当店では洋書(英語)の買取にも力を入れておりますので、まったく問題ありません。
洋書の専門書の中にはまだ日本語に翻訳されていないもの、もしくは今後も日本語訳される見通しの無い大著作も多くあり、その道の専門家の方には必須の書籍もあります。一般書店ではあまりお目にかからないかも知れませんが、そういった需要が見込めるものについて当店では喜んで買取らせていただくので、専門書籍で不要のものをお持ちの方は是非、当店にお譲りください。
続いて、気になる本のピックアップなのですが・・・「ナウシカ考 風の谷の黙示録」、これ、気になりますね。アマゾンのレビューを拝見するに、王権論、ナウシカ以前の宮崎作品との関連性の整理など、普通にナウシカを読んでいただけでは読み取れなかった角度からの解説が展開されているようです。映画だけでなく、原作漫画がベースとなっているようなので、未読の方は原作と併せて是非!
そんな中、気になる一冊としてピックアップしたのが、こちら。
「交雑する人類―古代DNAが解き明かす新サピエンス史」(2018年初版)です。
著者はデイビッド・ライク。ハーヴァード大学医学大学遺伝学教授です。2015年、ネイチャー誌で全科学分野における最も重要な10人のひとりに選ばれました。本書は原著「Who We Are and How We Got Here」(2018年)の日本語訳ですが、原書からの訳出が1年を待たず行われていることからも、彼の研究を日本の研究者たちも熱い視線をもって注目していることが伺え知れます。
そんなライク氏の研究対象が古代人類のDNA。過去、人種間における交雑が歴史上にどのような影響を及ぼしたのか、いくつかのケースでDNAを解析することにより明らかにしてきました。その功績の代表的なものが、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが過去交雑していたことの発見です。このニュース、初めて聞いたときには結構な衝撃を受けませんでしたか?
元々、われわれ人類はどこからきたのか?というような種類の問いは哲学的に思考されるか、さもなくば、科学的とはいっても考古学や言語学がその中心的役割を担うことが20世紀後半までは多かったのですが、21世紀に入り、ゲノム解析の技術性能の向上と共に、分子生物の分野がその立場にとってかわるようになりました。
ライク氏の恩師は遺伝学の大家、ルカ・カヴァッリ=スフォルツァの弟子であり、スフォルツァは1994年に「ヒトの遺伝子の歴史と地理」という本を発表しています。こちらの本では、遺伝学を用いて人類の過去を探るという事を目指しており、当時の考古学、言語学、歴史学、遺伝学の知識を総動員してそれに迫ろうとしました。
そのような研究姿勢にライク氏が影響されたのはいうまでもありません。が、当時のゲノム解析能力は氏曰くところ、まだ「お粗末」なものであり、ヨーロッパにおける農耕民の遷移を例にとっても(本書14、15P参照)、最新の全ゲノムデータから得られた結果から見れば間違いだったことが分かってきました。
本書では、そういった既存の研究分野からは解き明かされてこなかった、今日ある人類の姿がどうできあがってきたのか、その背景にある人種の交雑はいつごろ、どのようにして起こってきたのかを「ゲノム」を武器に解き明かしていきます。巻頭見返しには「30の交雑関連事象」として世界地図と、その交雑がいつ頃に起こったのかが図示されており、各章でとりあげていきます。
第8章では現代日本人を形作る元となった動きについて、1ページくらいの短い部分ですが、取り上げられていますよ。
こちらの本も結構な厚さなので、通読はなかなかに大変かもしれませんが、言語学の観点や、歴史、考古学の観点も併せて読むと両者の裏付け、関連性が臭い立ちそうで、ロマンを感じます。それを想うだけで、個人的にも入手したくなってしまいました。
今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!