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スタッフブログ 買取日記

2020/08/18

アートや歴史に関する書籍を買取いたしました

今回は図録など芸術に関する書籍や、歴史に関する書籍を多数買取させていただきました。以下に特によい査定額をお付けできたものを紹介させていただきます。

「北星堂/英林社 英訳 古今和歌集 THE KOKIN WAKA-SHU 本多平八郎 1970年」
「Art of Chabana: Flowers for the Tea Ceremony」
「北星堂/英林社 英訳 新古今集 THE SHIN KOKINSHU 本多平八郎 1970年」
「鎖国時代日本人の海外知識―世界地理・西洋史に関する文献解題 (1978年)」
「中国古書 Great National Treasures of China 国之重宝 国立故宮博物院」
「キャッスル―古城の秘められた歴史をさぐる」
「洗濯船―20世紀美術の青春 (1977年)」
「岡鹿之助作品集 (1974年)」
「主婦と生活社 Stained glass 光と色彩 ヨーロッパの聖堂で 渡部雄吉写真集 1972年」
「プラハ城―歴史と遺産」
「トルーマン回顧録〈第1,2〉 (1966年)」
「時代考証事典」
「洋書2冊 A HISTORY OF HAIKU Vol.1+2 R.H.BLYTH 北星堂 俳句の歴史 1-2巻」
「Stained glass (1980年)」
「シャガール―陶器と彫刻 (1974年)」

などなど。

今回も気になる本がたくさんあって、1冊に絞るのが大変でした~。

「洗濯船―20世紀美術の青春 (1977年)」 は若き芸術家たちが住んだフランスはパリ、モンマルトルにあったアトリエ兼集合住宅の俗称である「洗濯船」に関する本です。1970年に火災でほぼ消失してしまっており、現在ではその当時の姿を見ることはできません。ピカソらが若い時代に住んでいた当時のモンマルトルの写真なども掲載されており、貴重な資料となっています。

また、「プラハ城―歴史と遺産」は城の詳細な説明のみならず、歴史の中で果たした役割なども丁寧に記載されています。写真もたくさんあって、開いているだけで旅に出たくなります。ハンドブックにするには相当重いので、旅の前の予習か、余韻に浸る復習に欲しいですね~。

が、そんな中でもなんとか選んだ今回の1冊はこちら。

「Stained glass (1980年)」ローレンス・リー (著), 黒江 光彦 (翻訳)

です。

「ステンドグラス」という言葉を見かけて瞬間的に思い出したのがフランスのパリ・ノートルダム大聖堂の火災です。あの衝撃から1年ちょっとが経ちましたが、13世紀に作られたというノートルダム大聖堂のバラ窓はなんとか消失を免れたということで、少しほっとした記憶があります。

本書では13世紀のステンドグラスの例として、シャルトル大聖堂、サント・シャペルと並んでノートルダムのバラ窓(北)の写真も掲載しています。

私がそうであったように、ステンド・グラスといえば教会の窓を思い浮かべる方は多いと思います。実際に、こちらの本も教会の窓を飾っていたステンドグラスを図説の中心に据えているため、キリスト教的な図像学や聖書の内容に少し通じていないと、説明を読むのがやや億劫に感じるかも知れません。ただ、それぞれの内容を見開き2ページの中に収めようという工夫がされているので、ダラダラと長い説明に疲れてしまうことはなさそうです。ステンドグラスに描かれる「紋章」について説明するページは、これだけで別の本が一冊書けそうな面白さです。実際に訪れた教会の窓に紋章を見つけては、「そういう意味なのか!」と由来を謎解きするのも楽しいでしょうね。

中心部である教会窓としてのステンドグラスの紹介は11世紀のドイツのものから始まっています。そこから時代を下りながらドイツ・フランス・イギリスやスペインなどのそれぞれの建築様式に合わせたステンドグラス窓が紹介されているのですが、それぞれが美しいだけでなく、独自のスタイルがあることが面白いです。

20世紀に入ると、アメリカやオーストラリアなどにおける実験的アプローチの作品の例などもあり、キリスト教的宗教観とは全く関係のないステンドグラス作品があることに面白みを感じます。従来から、おとぎ話や童話、ギリシア神話から題材をとった作品もあったようで、ステンドグラスのイメージが変わりました。

20世紀のフランスの例の中ではル・コルビジェによるロンシャン大聖堂など、新大陸以外の伝統的背景を持つ国においても革新的な作品が出てきており、建築と一体となった美しさとステンドグラスの表現の幅の広さに改めて驚かされます。

日本における作品例(本書では「子どものための喜びの交響曲的塔」というタイトルになっていますが、現在は名称が変わったのか「幸せをよぶシンフォニー彫刻」と公式ホームページ(箱根彫刻の森)では掲載されています。)も紹介されているのですが、こちらの1作のみ、しかも海外のアーティストによるものとなっております。こちらの本が出版されたのは1980年なので、それ以降の優れた作品も掲載される新版が出ると嬉しいですね。

今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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