2020/06/29
法学関連他の書籍の買取
今回は法学関連の書籍を中心に買取させていただきました。その中でも特に良い査定額をおつけできた本を以下に挙げさせていただきます。
「初任者のための戸籍実務の手引き」
「新・シネマで法学 (有斐閣ブックス)」
「法学のお作法」
「憲法1 人権 (有斐閣ストゥディア)」
「ワイン法 (講談社選書メチエ)」
「はじめてのEU法」
「【2019年ビジネス書大賞 大賞】AI vs. 教科書が読めない子どもたち」
「老いてこそデジタルを。」
「日本社会の家族的構成 (岩波現代文庫―学術)」
「ディス・イズ・アクティング(デラックス・ヴァージョン)」
「男と女 製作50周年記念 デジタル・リマスター版 [Blu-ray]」
「シューマン:≪リーダークライス≫≪女の愛と生涯≫/ベルク:初期の7つの歌」
「法曹実務にとっての近代立憲主義 判例時報2344号臨時増刊 判例報社 2017年」
などなど。
「【2019年ビジネス書大賞 大賞】AI vs. 教科書が読めない子どもたち」や「老いてこそデジタルを。」など、その他の分野の本もありますし、本以外にもシーアのCD「ディス・イズ・アクティング(デラックス・ヴァージョン)」や「男と女 製作50周年記念 デジタル・リマスター版 [Blu-ray]」など、音楽や映像のディスクものもありました。
そんな中、今回の気になる一冊はこちら。
「ワイン法 (講談社選書メチエ)」
です。
2019年11月に初版が発行されています。
著者は蛯原健介氏。本書の奥付にて著者の紹介がされているのですが、そこに「…法学部教授で、専攻は公法学、ワイン法」であり、「国際ワイン法学会理事、一般社団法人日本ソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)」であると書かれています。法学とワインの知識の両立、なかなか興味深いところですが、それは置いておいて。
正直、「ワイン法」という言葉自体が耳慣れないものだと思います。それもそのはず、「ワイン法」という名称の個別法があるわけではなく、ワイン市場に関するEU法や、各産地の生産基準も含めて「ワイン法」と便宜的に呼ばれるようです。序章の部分では、こういった「ワイン法」の定義の話や、ワイン産地のブランドを守ることを主眼にワイン法が作られたことなどが述べられています。また、本書では基本的にヨーロッパにおけるワイン法の成立と、その変遷を軸に現在のワイン流通世界が書かれています。
ところで、ワインというと、どのようなイメージがあるでしょうか?
今でこそ、チリやカリフォルニア、南アフリカなど様々な地域の安くて、しかもお味も悪くないワインがたくさん日本でも売られるようになり、庶民的な飲み物になってきているような気がしますが、一昔前までは「ハイソな飲み物」な感じがしませんでしたか?
ワイン産地のブランドを守ることがワイン法の主たる目的だということを書きましたが、それであるならば、十分その目的は達していることになります。ただし、これも既述したように、ヨーロッパ地域以外のワイン(しかも美味しい)が簡単に手に入る今、そのブランド力が看板のみになっているような気もしてしまいます。本書でも著者が投げかけた、「ヨーロッパの高級ワインの方が本当に20倍も美味しいのか?」という疑問も多くの人が感じるところだと思います。
また、「ワイン法」の中から生まれた具体的なブランド保護制度に「原産地呼称制度」がありますが、このような手厚いブランド保護の仕組みが、一部の従来の生産者のエゴや既得権を存続させるものだとして批判されることもあるようです。これも、自由競争を促進したい側から見れば、容易に想像ができますね。
本書では、新たなプレーヤーとしての非ヨーロッパ地域のワイン産地からの刺激(もしくは、圧力)からその姿を変えつつ、ブランド保護を使命とする従来の「ワイン法」の理念は今も受容されいるのだということを、感情的にではなく、具体的な仕組みの紹介や経済的な観点から上手く述べていると思います。その中で、「本当に美味しいの?」「既得権益を守るためのものじゃないの?」という疑問にも、はっきりした形ではないにせよ、答えています。
具体的な名称に英語の略語が多いため若干混乱する向きはありますが、ワインが好きな方には読みものとしても面白い一冊なのではないでしょうか。
今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!