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スタッフブログ 買取日記

2020/04/01

文学、法律、漫画等の書籍買取させて頂きました。

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今回は文学や法律等の書籍を中心に買取をさせていただきました。他には漫画などもありました。以下、特に良い査定額をお付けできた本をご紹介します。

「「沙漠の魔王」完全復刻版」「損害保険の法務と実務」「Iの悲劇」
「地震保険の法理と課題」「戦記漫画傑作選 限定版BOX」
「神聖喜劇〈第6巻〉」「神聖喜劇〈第5巻〉」「神聖喜劇 (第4巻)」
「抒情歌謡集―リリカル・バラッズ」
「風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」」
「薔薇のサディズム―ワイルドと三島由紀夫」
「オスカー・ワイルドの生涯」「ドグラマグラ」
「シャーロック・ホームズ家の料理読本 (1981年)」

などなど。
 お譲りいただいた書籍全体には文学作品が多い印象でしたが、こうしてリスト化すると高額査定商品には漫画が多いことに気が付きました。当店は専門書の買取を強みとしておりますが、このように入手が比較的困難である漫画、全巻が揃った状態の良い漫画なども良いお値段をお付けできることがありますので、お気軽にご相談くださいね。
一番最初に挙げた「「沙漠の魔王」完全復刻版」も福島鉄次氏の代表作の漫画です。秋田書店創立65周年記念として2012年に発行されました。オリジナルが「月刊少年少女冒険王(のちの「冒険王」)」に連載されていたのが昭和24年(1949年)から昭和31年(1956年)までですから、半世紀以上もの時を経ての復刻となりました。アマゾンの商品紹介にも書かれていますが、福島氏の作風にはかのジブリの宮崎駿氏も大きな影響を受けました。上のリストの中に宮崎氏の代表作の「ナウシカ~」もありますね。ナウシカの原作漫画、私も持っていますが、映画とは違う結末、メッセージ性の強さ、更なる世界観の深さ、どこをとっても私は断然原作派です。読んだことのない方は是非!おススメです。

と、今日の一冊を「ナウシカ」にして延々語っても良いのですが、すでにメジャー過ぎる感があるので今回は見送りまして。ピックアップした一冊はこちら
「Iの悲劇」(米澤 穂信 著 2019年9月25日 第一刷発行)
 です。

「I」とは帯の説明にあるように、「Iターンプロジェクト」の「I」です。舞台はとある地方都市。住民が全ていなくなってしまった「蓑石」という地域を再生させるため奮闘する主人公の万願寺含む3人の市職員を中心に、ひと癖もふた癖もある移住希望の住民たちの間に巻き起こる事件、そして謎を追います。帯の文言から、寂れた山村で起こる小野不由美の「屍鬼」的ホラーミステリーなのかと想像したのですが、そんなことはなく登場人物は全員普通(?)の人間でした。

本作品は「オールスイリ」「オール讀物」に連載された短編に書き下ろしを加えて一冊にまとめたものです。それゆえ、一章ごとに一つのエピソードが完結しており、テンポよく読み進めることができます。
作者の米澤穂信氏の作品は映像化などメディアミックスも多数されており、映画化された「インシテミル」は観たことがあったのですが、恥ずかしながら氏の文章を読んだのは初めてでした。さすが売れっ子作家の一人、本作でも扱っている内容に地方行政の理想と現実といった重いテーマが隠れているはずなのですが、主人公たちの軽妙なやりとりや、移住希望者たちのアクの強いキャラクター設定ゆえか、ページを繰る手が止まりませんでした。
とはいえ、ただ単にミステリーエンタテインメント作品というわけでもなく、既述したように地方行政の行き詰まりという、如何ともしがたいテーマが背後にあるため、その読後感は決して爽快なだけではありません。むしろ、何とも言えない苦々しさが残ります。特に、今回書き下ろされたうちの一章では何も事件が起きず、主人公が弟と消えゆく地方自治体を守る意義、ひいては人間の幸せとは何かについて口論する場面が描かれており、本書を単なるミステリ作品に分類することを難しくしています。ネット上のレビューをいつくか拝見すると、その章が余計だという感想を書かれている方もいるようですが、最終章「Iの喜劇」のアイロニックな終わり方をより噛み締めるためには絶対に必要な章であると個人的には思いました。
今作をきっかけに、同じ著者の別作品も読んでみたいな、と強く思った読後でした。

 今回もたくさんの良書をお譲りいただき、ありがとうございました!

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