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スタッフブログ 買取日記

2019/11/22

国際政治学書・文化人類学書籍買取させて頂きました

 

今回は国際政治や社会学、歴史、文化人類学などの人文系の書籍を多数買取させていただきました。その中で特に良い査定額をお付けできたものを以下にご紹介させていただきます。

 

「再魔術化する世界―総力戦・“帝国”・グローバリゼーション」

「シティズンシップ論の射程」

「行列のできる審議会~中医協の真実 (ロハスメディカル叢書)

「生命の大地―アボリジニ文化とエコロジー」

「アボリジニで読むオーストラリア」

「超少子化時代の家族意識―第1回人口・家族・世代世論調査報告書 (人口・家族・世代世論調査報告書 (1))

「ソ連の民主主義と家族: 連邦家族基本法制定過程1948-1968

「近代ヨーロッパ国際政治史 (有斐閣コンパクト)

「シティズンシップと教育―変容する世界と市民性」

「国家興亡論―「集合行為論」からみた盛衰の科学」「私の巴里物語 1950~1989年」

「自民党「孫子」―孫子理論による政治力学の解明」

「戦後政治史の中の天皇制」

「モスクワで粛清された日本人―30年代共産党と国崎定洞・山本懸蔵の悲劇」

「コミンテルンの世界像―世界政党の政治学的研究」

「国際政治史 -世界戦争の時代から21世紀へ-」

「政治意識の研究 (1971)

「楽遊書房 上下巻2冊 幻の花 和田博雄の生涯 大竹啓介 昭和57年」

「三重県史 資料編 近代1 政治・行政1 付録付 昭和62年 ぎょうせい」

「三重県史 資料編 近代2 政治・行政2 付録付 昭和62年 ぎょうせい」

 

などなど。

 

最後の2つ、「三重県史~ぎょうせい」は、いわゆるISBNという10桁、もしくは13桁のコードがない図書になっており、古書店によってはISBNのないものについては買取を拒否されてしまうこともございます。当店ではそのような図書でも本の状態、ニーズ等も考慮に入れて査定いたしますので、他店でお断りのものでも思わぬ良い値段が付けられることがございます。すべてがそうとは言い切れない部分もありますが、気になる方はどうぞご遠慮なくご相談くださいね。

さて、毎回一冊気になる本をピックアップしているのですが、今回もその「一冊」を選ぶのに苦労いたしました。「モスクワで粛清された日本人~」とかすごい気になりますね。が、今回選ばせていただいた本はこちら。

「行列のできる審議会~中医協の真実 (ロハスメディカル叢書)

です。

 

 「中医協」(正式名称:中央社会保険医療協議会)とは、なんとなくニュースで聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、病院などにかかった際にかかる費用(診療報酬)について検討、配分の方向性を決める機関です。一般的に、診療報酬額を決めている機関かと思われがちですが、実際に具体的金額を示すのは厚労省のお役人で、中医協では全体的な予算の中からどこにどうお金を付けるのか、という政策の方向性について話し合われています。

 と、知っていて当たり前のように書きましたが、こちらの本を読んでみて新しく知ったことです。中医協の他にも「社会保障審議会」や、さらにその中の「医療部会」、「医療保険部会」、中医協の下部にも「診療報酬基本問題小委員会」、さらに下部に各分科会が存在しており、その組織が役割分担をして適正な医療を提供する体制を整えるべく日夜奮闘している…というわけではないことが詳述されています。

こちらの組織名の羅列だけでも紛らわしいのに、その他に診療側(医師・看護師など)の組織、保険料を負担する事業者側である保険組合や経団連の面々、そして裏で巧みにそれらを誘導する厚労省など、様々な組織や立場の利権が入り乱れて日本の診療報酬体系を非常に分かりづらくしている構造が見えてきます。そして、そのような流れの中で、実際にお財布を開くことになる国民の感覚とはかけ離れた理由で金額が決定されていくということに恐怖を感じさえしました。

 こちらの本が出版されたのは2010年。それからこれまでの間に、東日本大震災があったり、中医協の改革を掲げた民主党政権から自民党政権への返り咲きがあったり、色々な変化があったはずなのですが、相変わらず「医療費の削減」という医療提供体制に直接結びつく重要な議論が国民不在の中でされているという体質は変わっていません。現に、今秋、今年初めに凍結された「妊婦加算」制度の再会が、まさにこの中医協でひっそり再検討されようとしているという記事を読みましたが、どれ程の国民がそれに注目しているでしょうか。

その専門用語の特殊さゆえに一時の問題視のみで忘れ去られがちな医療費ですが、この本の著者(元医療記者)のように、一般人にその危うさを分かりやすく言葉で届けるメディアも、もう少しあってしかるべきなのではないかなと思った良書でした。

 

 今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!

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