2019/08/17
デザイン書、美術書買取いたしました。
買取日記ジャンル
今回は美術、デザイン関係の書籍を中心に多数買取いたしました。以下に
良い査定額をお付けできた本を紹介いたします。
「マルセイユ版 タロットのABC」「はじめてのゼロ・カクテル」
「Fancy Alphabets (Agile Rabbit Editions)」
「24 Special-Effects Display Fonts CD-ROM and Book (Dover Electronic Display Fonts)」
「930 Matchbook Advertising Cuts of the Twenties and Thirties (Dover Pictorial Archive)」
「Advertising Spot Illustrations of the Twenties and Thirties: 1,593 Cuts (Dover Pictorial Archive)」
「Advertising Character Collectibles: An Identification & Value Guide」
「洋書写真集 Walt Disney Donald Duck live ディズニー ドナルドダック」
「ラベル&タグコレクション〈2〉」
「ショップ&ブランドの売るためのツール戦略とデザイン」
「LATE 60s FASHION STYLE―65~70年ファッション・スタイル」
「Rock Posters of Jim Phillips」
「Hatch Show Print: The History of a Great American Poster Shop」
最初の「タロット」と「カクテル」も気になりますねぇ。案外「タロットカード」(と、時には占いの本とのセット)を買取させていただくことって多いのですが、これも意外なことに良いお値段が付くことも、ままあります。最低限、カードが欠けていないことがお値段を付ける必要最低条件になりますので、お譲りの際はお気を付けくださいね。
さて、デザインの本もフォントデザインのものや、ファッション関連のもの、ディズニーのキャラクターのものもありますね。ただ、上記のリストを見るとポスターや広告などの商業目的に使われたデザイン関連の本が多い印象でしょうか。
そんな商業デザイン関連の本で気になった本が、今回のご紹介したい本、
「Rock Posters of Jim Phillips」(洋書)
です。
はい、Jim Phillips(ジム・フィリップス)というアーティストが手掛けたロックアーティストやロックイベント用のポスターの画集になります。各ポスターにそれぞれの作品が誕生した当時の背景とか、こぼれ話が挿入されていて、当時のロックとアートと共に育ったファンなら更に楽しめます。また、巻末にはロックポスターの蒐集者向けの情報がわざわざ載せられているなど、ロックそのもののファンにも、ポスターファンにも嬉しい一冊になっています。
そして、ポスターそのものも多く収録されていますが、彼自身、彼の家族や仕事仲間などとの写真も多く掲載されており、最終章ではJimbo Phillipsという彼の息子の作品(父と同じくグラフィックアーティストとしてロックミュージシャンのポスターを多く手掛けている、らしいです)も数点紹介されています。…というように、彼自身の作品を紹介することが中心ではあるものの、全体としては彼のファミリー回顧録的な味わいも少々あります。
彼の名前を聞いたことがある方は、ロックアートでというより、スケートボードやサーフボードのデザイナーとしてではないでしょうか。実際、彼の名前を検索すると、真っ先にヒットするのはスケートボード会社のアートディレクターとしての華々しい経歴です。それでも分からないという方は「スクリーミング・ハンド」と画像検索すると、「ああ、これをデザインした人ね」とピンとくるのでは? それほど、実は彼の作品はスケボーやサーフィンをしたことのない人でも見たことがある程、メジャーなのです。
そんなわけで、彼のロック・ポスターアートはスケボーアートと比べるとそんなに有名ではない感じがしてしまいますが、本書を読むと、かなり初期にまだ売れる前のDoorsやCreamなどのライブのポスターを手掛けたりもしており、将来のビッグ・アーティストにもその腕を買われていたことが分かります。その反面、地元のあまり売れているとは言い難いミュージシャンの公演などのポスターも多数手掛けており、アーティストの大小は関係ねぇ!という男意気のようなものも感じますね。あと、残念ながら当時出版はされなかったようですが、阪神大震災復興支援フリーコンサートのポスターも本書で紹介されており、英語のみの洋書の中で異彩を放つ日本語が躍る作品となっていますので、日本人的には是非見ていただきたい一枚となっております。
日本ではあまりロック・ポスターなるジャンル自体がメジャーではありませんが、アメリカではコレクターが多いというのも、デザインのクオリティの高さから頷ける気がしました。伝統的アートとはちょっと違う商業的逞しさとギラギラした雰囲気を感じてみたい方、おススメですよ。
今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!