2019/08/10
文学(小説)や理系雑学(物理学など)書籍の買取
今回は広い意味で「読み物」が中心の買取となりました。まず、良い査定額をお付けできた以下のリストをご覧ください。
「知性誕生―石器から宇宙船までを生み出した驚異のシステムの起源」
「物理パラドックスを解く」「世界を変えた17の方程式」
「オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)」
「重力の虹〈2〉 (文学の冒険)」「重力の虹〈1〉 (文学の冒険シリーズ)」
「種の起源〈下〉 (光文社古典新訳文庫)」
「ソロモンの偽証 全6巻 新潮文庫セット」
「失われた時を求めて(全10巻セット) (ちくま文庫)」
「カラマーゾフの兄弟 上・中・下巻セット (新潮文庫)」
「カラマーゾフの兄弟」は言わずと知れたドストエフスキーの大作ですね。何年か前に舞台を現代日本に改変したテレビドラマが放送されましたね。あれはかなり観やすくストーリーが単純化されていましたが、やはり原作は重みが違います。物理的にも(笑)、もちろん内容的にも。かなり前に読破しましたが、もう一度読みたい傑作です。
「オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)」もピュリッツァー賞と全米批評家賞をダブル受賞したオタク文化とラテン世界が融合した異色の話題作とあって、とても気になりましたし、「種の起源」も有名なのに読んだことがないなー…と文学から進化論の大著まで惹かれる本がたくさんあったのですが、今回、特に気になった本がこちらです。
「物理パラドックスを解く」(2013年3月15日初版発行)
です。
著者はジム・アル=カリーリ。英国の科学番組の解説者として有名な人物で、サリー大学理論物理学の教授でもあります。これまでも一般向けの科学書をいくつも手掛けており、本書もその一冊といえます。
本書は11章で構成されており、最初の「クイズ番組のパラドックス」では肩慣らしというか、常識的な論理で解ける科学的な知識は全く必要ないパズルを取り扱っています。最後の11章目は総括といえる章で、残りの第2~第10章までの9章で物理学が関係する各パラドックスを紹介し、解をまとめています。そう、こちらの本では「解」にたどり着くことのできる、著者が曰くの「基礎的な科学の知識があれば解決できる」パラドックスを扱っています。
内容ですが、さすが、今までにも一般向け書籍を手掛けているだけあって、知的な中にもユーモアのある説明で、科学知識が全くない人でも楽しく物理学の世界を垣間見ることができる作品に仕上がっています。
実際、「パラドックス」について考えるのは理系も文系もあまり関係がなく、特に最初の方で扱われている「ゼノンのパラドックス」あたりはむしろ哲学的なところに根っこがある気がしました。(ただ、本書を実際に読むと分かるのですが、こちらのパラドックスは単なる哲学的な論理学ではなく、突き詰めると量子力学にもつながる話となっていきます。)
ビッグバンに絡む第3章の「オルバースのパラドックス」も解に詩人のエドガー・アラン・ポーが登場しますしね。(こちらも、実際に読むと分かるのですが、ポーの登場の仕方が意外でダイナミックかつドラマチックです。)
第8章の「ラプラスの魔物のパラドックス」は「ラプラス」という言葉に反応したジャニーズファンや東野圭吾ファンもいるのでは?(「ラプラスの魔女」という東野氏の作品が嵐の櫻井翔さん主演で映画化されましたね。)
その他にも「シュレディンガーの猫」だとか、「祖父殺しのパラドックス」など、一度は耳にしたことのある有名どころのパラドックスが紹介されているので、いろんな層の読者が、脳の片隅で眠っている知識の抽斗を刺激されるのではないでしょうか。
まぁ、分かりやすく噛み砕かれた説明がされているとはいえ、物理学に関する本当は難解で高尚な論理の数々に、本書の「マクスウェルの魔物のパラドックス」風にいうなれば「理解をするために私の脳はエントロピーを増大している」状態に陥りましたが、本格的な理解は本物の物理の天才たちの仕事ですので、一般人は純粋に知的遊びを楽しませてもらいましょう(苦笑)。
今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!