2019/06/26
宗教書籍(キリスト教書籍)、語学学習書籍買取いたしました
今回はキリスト教と語学学習関連の書籍を中心に買取をいたしました。以下に良い査定額をお付けできた本をご紹介します。
「Engelsk Norsk Bla Ordbok」
「Dialektik der Aufklarung」
「Die Legitimitaet der Neuzeit」
「Greek Grammar of the New Testament and Other Early Christian Literature」
「聖書外典偽典 (6) 新約外典 1」
「ヴァルター・ベンヤミンの教育思想―メディアのなかの教育」
「Cha-No-Yu: The Japanese Tea Ceremony」
「新約聖書ギリシャ語独習」
「ヨハネ福音書〈上〉 (1968年) (聖書註解シリーズ〈5〉)」
「ヨハネ福音書〈下〉 (1968年) (聖書註解シリーズ〈6〉)」
「「原典新約時代史―ギリシヤ,ローマ,エジプト,ユダヤの史料による (1976年)」
「聖書外典偽典〈第7巻〉新約外典 (1976年)」
「図説ギリシア語聖書の写本―ギリシア語古文書学入門 (1985年)」
「新聖書大辞典 (1971年)」「旧約新約聖書大事典」
「Evangelical Dictionary of Theology」
「Textual Commentary on the Greek New Testament」
「ノルウェー語四週間」
上記リストの一番上、「Engelsk Norsk Bla Ordbok」の「Bla」の「a」の上には本当は小さな〇が付きます。こちら、何語がお分かりになりますでしょうか?勘の良い方ならお分かりかと思いますが、こちらは「英語―ノルウェー語辞書」ですね。「Bla」は英語の「blue」の意味のようです。写真を見ると、確かに表紙が青いです。一般的な日本の書店でノルウェー語が書かれた本が棚に並んでいるのを見かけることは、ほぼないのではないでしょうか。こういったエキゾチックな本に出会えることも、専門書を扱う古本屋で働く者の醍醐味の一つです。リストの中にはドイツ語もありますね。
他の言語についての本もあるのですが、それが今回の特に気になる一冊、
「図説ギリシア語聖書の写本―ギリシア語古文書学入門 (1985年)」
です。
こちらの本は1985年7月15日に初版が発行されました。1981年発行のB.M.メッツガー著の「Manuscript of the Greek Bible」の訳書になります。
プロテスタントでは新約聖書はギリシア語で、旧約聖書はヘブライ語で書かれたものが原典とされていますが、こちらの本では旧約、新約ともにギリシア語で書かれたものを取り扱っています。具体的にはB.C.2世紀からA.D.15世紀(活版印刷の発明)までのギリシア語聖書写本の実例を、45の図版と共に解説していくスタイルを主部としています。
導入部ではギリシアのアルファベットがどのように形を変えていったのか、写本がどのようにして作成されていったのかなどが説明されているのですが、まず、そのアルファベットの数の多さと、さらには書体の多さ、変化の多さに驚きます。外国人が漢字を見ると絵画のように見えると言いますが、ギリシア語アルファベットの羅列もなかなかのものです。聖書写本においては装飾的な工夫がされていることも多いため、余計にそう見えるのでしょう。
そして何より、これが人の手によって一文字ずつ書き写されたものだということに驚きを禁じえません。聖書には時代を経るに従って、その解釈に差異が生じている部分があるようですが、ちょっと考えただけでも、そりゃ間違うよね…と納得できます。ましてや、筆写者がギリシア語を母語としていないことも多いわけですから、古いギリシア語にどれだけ精通しているかによっても、正確さにはかなり差が出たことでしょう。
本書は、今述べたような素人が感覚的にも予想できるような理由だけでなく、専門的に勉強されている方向けに更に論理的に、ギリシア語聖書写本に何故異説が生じていったのかを解く手がかり、つまり、筆写者の癖や筆写者が写本を書き写す場合に直面した困難について教えることを意図しています。そこで、ギリシア語アルファベットの変化や書体、時代を経るごとに付け加えられていったルールなどを実際に図版と比較しながら理解し、その「癖」や「困難」に気付くことで、ギリシア語古文書の読解力を上げてくれるわけですね。
そういった本来の目的とは違っていますが、個人的にはギリシア語を語源にもつ英単語やドイツ語の例示や、セム語系の言語では文字を右から左に書く(ギリシア語も初期はそうだった!)といったような、著者の豊富な知識の一端を垣間見られただけでも面白い書でした。
今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!