2019/05/25
生物学書籍を買取いたしました。
買取日記ジャンル
今回は生物学に関連した本を多数買取いたしました。生物学の分析に絡んでということだと思われますが、プログラミング言語の本も結構ありました。その他には哲学書や物理学の本もちらほらあり、科学者の本棚を拝見しているような内容でした。
今回は件数自体も多かったですが、高額査定をできたものも多数ありました。その中でも、特に質・金額共に良かったものを以下にご紹介いたします。
「数理生物学入門―生物社会のダイナミックスを探る」
「ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版」
「共進化の生態学―生物間相互作用が織りなす多様性 (種生物学研究)」
「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」
「C言語ではじめる音のプログラミング―サウンドエフェクトの信号処理」
「ブラウン運動 (物理学One Point 27)」
「創発する生命―化学的起源から構成的生物学へ」
「科学とモデル―シミュレーションの哲学 入門―」
「Matplotlib&Seaborn実装ハンドブック (Pythonライブラリ定番セレクション)」
「進化発生学―ボディプランと動物の起源」
「退屈なことはPythonにやらせよう ―ノンプログラマーにもできる自動化処理プログラミング」
「生物系統学 (Natural History)」
「シュウィンガー量子力学」
「進化論の射程―生物学の哲学入門 (現代哲学への招待Great Works)」
「C++ プライマー 第4版 IT Architect’ Archive クラシックモダン・コンピューティング (IT Architects’ Archive―CLASSIC MODERN COMPUTING)」
「現場ですぐに使える! VisualC#2015逆引き大全500の極意」
「エリック・サティ覚え書」
「進化計算と深層学習 –創発する知能―」
「生物にとって自己組織化とは何か―群れ形成のメカニズム」
「新・宮沢賢治語彙辞典」
「蝸牛考 (岩波文庫 青 138-7)」
「ゲーテ形態学論集・植物篇 (ちくま学芸文庫)」
「メルロ=ポンティの思想」
上記の中に民俗学者の柳田國男の「蝸牛考」があるのが面白いですね。「蝸牛」とはカタツムリのことですが、こちらの本では日本各地でカタツムリがどのように呼称されているのかの方言の研究結果がまとめられています。こちらも非常に気になったのですが、今回ご紹介したい本はこちら。
「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」(2015年12月 初版)
です。
素人考え的には、生物学というと、その生物が分布している地域だったり、行動だったり、体の特徴だったり、目に見える部分についての研究が主なイメージがあります。それゆえ、生物の研究者は「虫取り網などを持って山にいる人」とか、「潜水艇に乗って深海の未知の生物を追い求める人」とか、フィールドにいることを想像してしまいますが、本書を読むと、そういった従来の行動形態学的なアプローチだけでなく、目に見えない「遺伝子」を使ったアプローチがいかに重要、かつ面白いのかということが分かります。
こういったアプローチが可能になったのも近年の分析技術の向上のお陰で、例えば、Aという虫の仲間は形態的にはBの近縁だと考えられてきたものが、遺伝子情報を読み解くと、実はCとの方が近かったといったような新発見が報告されているそうです。つまり、それまで定説だった進化過程に間違いがあったということで、遺伝子解析が系統樹を書き換えさせる力となっているわけですね。そうやって、少し前の生物の教科書なんて、どんどん書き換えられていくのでしょうねぇ。
こちらの本では、そういった昆虫の分子進化をめぐる全般的な説明から、個別具体的な昆虫の専門家向けのマニアックな分子進化の話までが、様々なレベルで紹介されています。まさに執筆者の一人が述べているように、本書全部を理解できる一般読者は稀であろうと思われますが、普段目にする昆虫にも「こんな進化の秘密があったなんて!」と読後、虫を見る目が変わること請け合いです。
これから暑くなってくると、さらに虫を目にする機会が多くなると思いますが、本書片手にその昆虫がたどってきた進化という歴史に、ロマンを感じてみてはいかがでしょうか。
今回も良書をたくさんお譲りいただき、ありがとうございました!